北朝鮮の核実験場近くで起きた「トウモロコシ殺人」の悲劇

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北朝鮮の人々は、政府のコロナ鎖国により深刻化した食糧難に苦しめられている。絶糧世帯(食べ物が底をついた世帯)に陥り、餓死する人もいれば、生き残るために他人のものに手を付ける人もいる。

そんな状況が、また一人の命を奪ってしまった。咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

事件が起きたのは、豊渓里(プンゲリ)核実験場で知られる道内の吉州(キルチュ)郡だ。今月15日の夕刻、60代のパクさんが倒れているのを、市場の帰りに通りかかった息子夫婦が発見した。しかし、彼は息絶えた後だった。

顔と体にはあざがあり、服には足跡がついていたことから、強盗に遭って殺されたものと思われる。息子夫婦からの通報を受けた安全部(警察署)は聞き込み捜査から始めたが、目撃証言も証拠も確保できず、捜査は難航している。

かつてなら、パクさんの年齢になれば年金と配給を受け取り、老後の心配なく余生を送ることができたが、そのいずれも支給が中断している。パクさんは生活に行き詰まり、息子夫婦と同居するようになった。

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余裕がないのは息子夫婦とて同じ。妻が、市場でトウモロコシ麺を売って一家を支えていたが、パクさんは少しでも手助けをしようと、自宅から市場まで10キロもあるトウモロコシを運んでいた。その途中で強盗に出くわし、トウモロコシも命も奪われてしまったのだ。

生活苦のあまり、子どもに家を追い出されたり、自ら家を出ていったりして、コチェビ(ホームレス)となる老人が増えている。パクさんは、息子夫婦の足手まといにならないように、商売を手伝っていて悲惨な最期を迎えてしまった。

たった10キロのトウモロコシのために人命が奪われるほど、北朝鮮の食糧難が深刻であることを、この例は示している。

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生活が苦しいのはパクさん一家だけではない。事件の話は地域住民に広がり、不安が高まっている。住民は「カネを稼ぐことも大切だが、泥棒を防ぐことも大切」と、国民の生活、防犯に無関心な政府を遠回しに批判している。