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北朝鮮の分組管理制は、集団農業による生産効率や農民の労働意欲の低下を防ぐため、10人から25人の分組に一定面積の田畑を与えて、責任を持って農作業を行わせ、その結果に応じて収穫の分配を受け取るというインセンティブ制度だ。この分組を家族単位にしたものは、圃田担当制という。

北朝鮮の農業改革の出発点と見られていたが、今年春に田畑の分配が行われず、また、8月3日に開かれた最高人民会議常任委員会常務会議で農業法を改正し、分組管理制を修正したことで、分組管理制と圃田担当制が廃止され、従来の集団農業に戻るのではないかとの見方が出ていた。

(参考記事:北朝鮮、集団農業に回帰でインセンティブ制度廃止か

しかし、デイリーNKの内部情報筋によると、農業法の改正で、この制度を廃止するのではなく、分組に属する個人の役割を強化する形で方向性を決めたのだという。

情報筋は、今回の改正で、「分組管理制の中の個人請負制を許容した」とし、「農村基本生産単位の生産力増大と体系改善のための措置だ」と述べた。農民個人の領域、役割、責任を明確にし、達成の動機を与えることで、食糧生産の増大を図ろうとする意図とみられる。

両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)の一部農場では、2019年から個人が土地を耕作する「個人圃田耕作担当制」を試験的に導入し、生産量が増える効果が一部で現れたと伝えられている。

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農民からも好評だったため、次は全国的に導入しようとする意図があるものと見られる。集団農業から個人農業への段階的以降の過程に入ったとの見方も示されている。

また、農村から出て行ってしまった農民を呼び戻し、都市部の若者を農村に移住させるために、生活環境の改善や農村のイメージ改善にも取り組んでいる。

「国は、農村文化住宅を建設して農家の生活の質を向上させ、より多くの青年が農村に嘆願するようにしている。都市と全国が農村に対する(否定的な)社会的認識を改善し、(農業)現場の工業化を実現し、宿願である食の問題を解決しようとしている」(情報筋)

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ただし、これだけで農民の生産意欲を高めることができるかは未知数だ。手間暇かけた分、それに見合った分配が行われなければならないが、現状では制度的に充分ではないというのが、情報筋の指摘だ。

「農作業を行った人がより多く得て、それを販売できるようにしなければならないが、実際に得られる量は最も少なく、決算分配のときの権限もないため、意欲が出るはずもない」

まず、軍や国が農民から強制的にコメを奪っていく問題がある。農民は、肥料や営農資材を買うために借金をするが、収穫をあまりに多く奪われるため、すっからかんになってしまうのだ。そのため、一粒でもコメを奪われまいとする農民と、一粒でも多く持っていこうとする軍や国との間で熾烈な争いとなる。

(参考記事:軍と国家が一斉に農場を襲う、北朝鮮「食糧難」の末期症状

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それだけではない。約束された分配の量が守られなかったのだ。これは、農場幹部が処罰を避けるために、収穫量を水増しする虚偽報告を行い、国はそれに基づいて分配量と翌年の生産目標を決めるため、分配量が減ってしまったのだ。これではやる気が出るはずがない。

(参考記事:凶作続きの北朝鮮農業、打開策は「ホラ防止法」