2016年1月、咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋は、韓流コンテンツの視聴に対する取り締まりが強化され、ワイロの相場が高騰し、中国人民元で3000元、当時のレートで約5万4000円に達したと伝えている。
それでも一向になくならない韓流に業を煮やした北朝鮮は、2020年12月に「反動思想文化排撃法」を制定した。最近では、1000ドル(約14万6000円)以上渡しても、事件をもみ消すのが難しくなっている。ではいったい、どのくらいの金額を積めば効果があるのだろうか。
咸鏡南道(ハムギョンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、先月末に咸興(ハムン)で逮捕された20代の青年Aさんは、なんと2万5000元(約50万6000円)ものワイロを渡して、処罰を免れたという。1キロ6000北朝鮮ウォン(約102円)のコメが約4.6トンも買える額だ。わずか数百グラムのコメすら買えずに飢えている人が少なくない今の北朝鮮では、極めて大きな額と言えよう。
Aさんは、友人を通じて知り合った商人のBさんから、韓国映画のファイルが保存されたSDカードを9万北朝鮮ウォン(約1530円)で購入した。コロナ禍で鎖国状態となった北朝鮮では、商人の多くが仕入れができなくなり、韓流コンテンツの転売に手を出した。
取り締まりが厳しいため、Bさんは「一見さんお断り」で、コネを通じた販売のみに限っていたものの、Aさんの陳述をもとにして逮捕されてしまった。流通に加担した場合の最高刑は死刑。しかし、Bさんも釈放される見込みだ。
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「コロナ禍で経済的苦境に追い込まれた商人たちは、生きていくために命がけで南朝鮮(韓国)映画を売っていたが、誰が家に証拠を残すものか」(情報筋)
保衛部(秘密警察)は、Bさんの自宅の家宅捜索に入ったものの、物証の確保に失敗したのだ。韓流コンテンツを扱う商人は、取り締まりが強化されたため、死刑にされないために非常に慎重に行動している。もちろん、いくらかのワイロを掴ませたであろうことは、想像に難くない。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面取り締まりが強化されると、ワイロの相場が上がるというのは、以前から繰り返されてきたことだ。
「結局、カネさえあれば南朝鮮映画がいくらでも見れるということだ。カネのない人ばかりが、厳しくなる取り締まりに引っかかって重い罰を受けるというのが今の実態だ」(情報筋)
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