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2016年1月に北朝鮮の首都・平壌でオープンした「科学技術殿堂」。そして、各地で建設が進められている「未来院」。いずれも、未来の科学技術を担う人材を担う育成するための、科学技術に特化した図書館だ。

国営の朝鮮中央通信は2014年5月、未来院についてこのように報じている。

朝鮮で未来院の建設および改造が活発

【平壌5月9日発朝鮮中央通信】朝鮮の市・郡で近代的な未来院の建設を活発に行っている。
新しく建設および改造される各地の未来院には、電子閲覧室、コンピュータ学習室、科学技術普及室、遠隔講義室などが設けられている。

各未来院は、科学技術知識普及拠点として経済の発展と人民の文化的生活に積極的に寄与することになる。

黄海北道、平安北道、咸鏡北道、慈江道、江原道内の市・郡で未来院の建設および改造を推し進めている。

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祥原郡では、祥原川のほとりに2階建ての未来院をしょうしゃに建設した。

郭山郡でも、未来院を特色あるものに建てた。

高山郡、前川郡では未来院の内外部を新世紀の要請にふさわしく改造した。

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コンピュータをはじめいろいろな設備を準備し、設置作業など全般的な工事を短期間に終えた郭山郡、龍岡郡では未来院の管理・運営の科学化、情報化を推し進めている。

各未来院では、中央と道・市・郡間にデータサービス・システムを確立して現代科学技術資料と各部門の最新成果資料を読者が任意の時間に閲覧できるようにしている。

大紅丹郡、安岳郡、虚川郡の未来院では、金日成総合大学、人民大学習堂をはじめ各単位との連携の下でサービス活動と運営をよく行っている。---

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電子閲覧室とは、文字どおり電子書籍を閲覧する部屋のことだ。平壌の人民大学習堂と国家資料通信網(イントラネット)で繋がれていて、地方にいても様々な科学技術に関する書籍、資料を閲覧できるようになっている。

(参考記事:北朝鮮IT事情:インターネットではなく“イントラネット” それでも繋がらない

国立の図書館で、当然のことながら無料で閲覧できたが、急に有料化されたと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

咸鏡南道(ハムギョンナムド)の情報筋は、今まで未来院で無料で閲覧できていた電子書籍や科学技術関連の資料が、有料化されたと伝えた。価格は1年で100万北朝鮮ウォン(約1万7000円)。明日食べるものがなく飢えている北朝鮮の人々にとって、とても手の出る料金設定ではない。

今まで未来院は、地域の大学生のみならず、工場や企業所の技術者、機能工が多く利用していた。その場にあるものはすぐに無料で貸し出しが可能で、ないものは司書に頼めば、イントラネットで無料で取り寄せてもらえた。

しかし、国の電子書籍を取りまとめている人民大学習堂は、9月からの有料化方針を示し、各地の未来院に伝えた。

平安南道(ピョンアンナムド)の情報筋も、粛川(スクチョン)郡未来院も、9月から有料化する方針を示したと伝えた。

農業の盛んな粛川では、品種ごとの栽培方法、湿地帯での耕作などに関する技術書を閲覧する協同農場の技術者や、農業専攻の大学生が多く未来院を利用してきた。翻訳された海外の論文も閲覧できていたが、これが有料化されてしまう。

一方で、未来院の蔵書に関しては、今後も無料で閲覧できるばかりか、コピーまで無料してもらえる。しかし、蔵書とは言っても、金日成全集などの「労作」と呼ばれる最高指導者の著書や、その神格化に関連した長編小説など、何の役にも立たない本ばかり。

(参考記事:北朝鮮の考える「文学不振」の的はずれな理由

無料であるのはそんなものばかりで、「現場の技術者や大学生が必要とする書籍や資料は国が独占して、それも有料化するなんて、これが知識経済強国を目指す国なのか」と、利用者からは不満の声が上がっている。

有料化の理由は明らかになっていないが、おそらく予算不足によるものだろう。人民大学習堂や科学技術殿堂、各地の未来院が今までいかにして切り盛りしてきたのかは不明だが、国から充分な予算が得られなくなり、独自に運営資金を調達する状況に追い込まれているのかも知れない。未来院の未来の見通しは暗い。