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10歳の息子を祖母に預け、親戚の見舞いに行くと言ったまま行方不明になっていた、北朝鮮の咸鏡北道(ハムギョンブクト)清津(チョンジン)在住の若い夫婦。保衛部(秘密警察)は脱北の可能性があると見て捜査を進めていたが、中国で逮捕されていたことが明らかになったと、現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

(参考記事:病気の親戚を見舞いに行った北朝鮮夫婦が行方不明、脱北の可能性

清津市保衛部は夫婦の足取りをつかめずにいたが、8月22日に中国との国境に接する穏城(オンソン)郡の保衛部から、「中国の公安から(夫婦が)監獄にいると通知された」との連絡を受けた。

この夫婦は国境を越えて脱北し、吉林省延辺朝鮮族自治州の和龍市に身を潜め、韓国行きを目指していた。しかし、20日の深夜に公安当局に逮捕され、穏城に近い辺防隊(国境警備隊)の監獄に身柄を移された。

運が悪かったのはそのタイミングだ。北朝鮮は、新型コロナウイルス流入を防ぐために3年7カ月にわたって国境を封鎖し、ヒトとモノの出入りをいっさい禁じていたが、16日から段階的に国境を再び開き始めた。

脱北して中国で逮捕された人々は、無条件で北朝鮮に強制送還されることになっているが、かこ3年半あまりはこの措置に伴って強制送還を逃れ、命拾いしていた人も多い。ところが、今回の夫婦はちょうど北朝鮮が国境を開いたのと同時に逮捕されたため、早々に強制送還されるものと思われる。

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夫婦が身を隠していたころ、北朝鮮ではこの事件を巡り、各保衛部がくだらないことで揉めていた。

清津市保衛部は、この夫婦が脱北したものとみて、脱北ルートの解明に全力を尽くしていたが、その過程で会寧(フェリョン)市、穏城郡の両保衛部や、国境警備隊との間で摩擦が起きていた。

清津市保衛部は「会寧から中国に脱北した可能性が高い、その責任は会寧市保衛部にある」として、平壌の国家保衛省に問題提起をした。激怒した会寧市保衛部は「(夫婦が)送還されたら、清津市保衛部に飛んでいって足をへし折ってやる(痛い目に遭わせるの意)」と息巻いているとのことだ。

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