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北朝鮮北東部の最大都市、清津(チョンジン)に住んでいた夫婦が行方をくらました。他の国なら単なる失踪事件として扱われるだろうが、北朝鮮ではそうならない。保衛部(秘密警察)が乗り出して捜査する騒ぎになっている。咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK情報筋が伝えた。

市内に住んでいたある夫婦は今年5月中旬、平安南道(ピョンアンナムド)順川(スンチョン)にいる親戚の見舞いに行くと言って、10歳の息子を祖母に預けて出発したまま、所在が不明になった。

それから1カ月経っても帰ってこなかったため、人民班(町内会)では、「これほど長く留守にするような人たちではないはず」という疑問の声が上がり、結局、人民班長が地元担当の保衛員(秘密警察)と安全員(警察官)に通報した。

(参考資料:年末の北朝鮮で忽然と姿を消した母子、夫を追って脱北か

保衛部は、この夫婦には中国に親戚がいないことから「危険人物」とはみなしていなかったが、順川の親戚の家にも行っていなかったことが明らかになり、脱北の可能性があると考えるようになった。

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その後、保衛部は夫婦の過去の足取りについて調査を行い、比較的裕福で、10年以上にわたって中国の貿易業者と交流があったことを把握した。保衛部は、夫婦がコロナ禍の国境封鎖で経済的に苦しくなり、業者の手を借りて脱北して中国に逃げたと見ている。

(参考資料:【脱北者インタビュー】北朝鮮の家族がコロナや食糧難で死んでいる

もっとも茂山(ムサン)、会寧(フェリョン)、穏城(オンソン)などの国境沿いに設置された監視カメラの映像をすべて確認したが、2人の姿は見つけられなかった。

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国境警備隊は、哨所(監視塔)ごとの勤務日誌、勤務交代時の状況などについての検閲(監査)を行い、国境沿いの地域住民にも2人を見たことはないかと聞き込みを行ったが、結局見つからなかったようだ。脱北したのか、したとすればどこを通じて脱北したのかもわからないのに、なぜすべてを検閲しなければならないのかと、国境警備隊にも不満があるようだ。

地域住民は「これくらいなら、すべての道民を監視しなければならないのではないか」などと、保衛部のやり方を鼻で笑っているという。

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