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前年の収穫の蓄えが底をつき、飢えに苦しむ「ポリッコゲ」(春窮)が、最も苦しい最終段階に入っている。

北東部の咸鏡南道(ハムギョンナムド)のある協同農場では、農民の6割が「絶糧世帯」、つまり食べ物が全くなくなったと伝えられている。そんな状態で農作業ができるわけもなく、今年の穀物生産にはさっそく黄色信号が点っている。

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朝鮮労働党平安南道(ピョンアンナムド)委員会は今月8日、食糧問題に関する会議を開いた。その内容について現地のデイリーNK内部情報筋が伝えている。

会議で決定されたのは、首都・平壌の北にある平原(ピョンウォン)、粛川(スクチョン)、文徳(ムンドク)など、「十二三千里平野」と呼ばれる穀倉地帯の協同農場に対して、都市部の絶糧世帯に送るための支援米献納運動を行うこと。

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党委員会は、都市の住民が農村の「田植え戦闘」(住民を大量動員して一気に田植えを行うこと)を手伝っているのだから、今度は農村が困難に直面している都市の住民を救うべきとして、10日にわたってコメを集めることを指示した。

また、農村における住宅建設については「空から落ちてきた(運に恵まれた)のではなく、この時代の農民に与えられる党からの愛」だとして、動員への恩返しとして支援米献納に立ち上がるべきだと強調した。

各農場は「われわれが立派な家に住めるのは、都市の住民たちが立ち上がり、突撃隊(半強制の建設ボランティア)を作って支援してくれたおかげなのだから、恩返しする気持ちで10日間、美徳を発揮して一掴み、1キロでも無条件で出そう」と、コメの献納を訴えた。

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穀倉地帯とは言え、食糧事情が苦しいのは都市と同じ。昨年の数字だが、文徳郡内の協同農場の出勤率は57%に留まっていた。空腹で畑仕事ができないのだ。今年とて状況はさほど変わりないだろう。

(参考記事:「もう食べるものがない」金正恩の足下で響き渡る悲鳴

「コメを献納しよう」という訴えは事実上の強制。農民たちは泣きっ面でわずかばかりの手持ちのコメを供出し、今月中には麦やジャガイモの収穫が始まるのでそれまで耐え抜こうと声を掛け合っている。

(参考記事:飢餓の中「一さじの昼食」を分け合う北朝鮮の人々