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北朝鮮で麻薬の「アヘン」を薬の代用品をして使う人が後を絶たない。

故金正日総書記の指示で、1992年から「白桔梗(ペクトラジ)事業」と称して始まったアヘン栽培。輸出して外貨を稼ぐ目的だったが、その一部が横流しで国内にも流通するようになり、不足する薬の代わりに使ったことで、中毒になる人が続出している。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、会寧(フェリョン)に住む40代のキムさんは2020年、大腸炎の治療のためにアヘンを使用した。下痢、嘔吐、頭痛の治療目的でアヘンを薬の代用として使う人が少なくないが、キムさんもその一人だった。

実際、下痢止めや咳止めとして使われていた歴史があるため、全く根拠がないわけではないが、副作用のほうが大きいことは説明する必要もないだろう。ところが北朝鮮では「脳の血栓を溶かす」「1年に1〜2回注射すれば予防になる」との俗説、さらには万病に効く薬といった根拠のない噂が広がってしまった。

2010年代には、ピンドゥ(覚せい剤)が薬の代用として使われていたが、コロナ禍で医薬品不足が深刻化したことで価格が高騰、その代わりにアヘンが広く使われるようになり、中毒者が増えたという。

(参考記事:コロナ禍の北朝鮮社長が手を伸ばす「禁断のクスリ」の致命的な副作用

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真面目に仕事をしていたキムさんだったが、アヘン中毒になり、仕事を辞め、家を売り払い、そのカネでアヘンを買うようになった。妻には愛想を尽かされ三下り半を突きつけられ、息子と二人暮らししていたが、その息子の服までアヘンを買うために売り払う始末。

行き場を失った彼は、実の母親の家に転がり込んだ。しかし、一文無しのアヘン中毒者を歓迎する者は誰もおらず、祖母と叔父夫婦からのプレッシャーに耐えかね、息子は家出してしまった。そんな彼に対する隣人の視線も厳しい。

キムさんのように、薬の代用としてアヘンを使い、中毒になって人生を棒に振る人は少なくなく、中には死に至る人すらいる。一家は離散し、結局はコチェビ(ホームレス)となってあちこちをさまよい歩く暮らしをするしかなくなる。

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情報筋は、アヘン問題の解決のためにも、医療施設と医薬品の供給の改善が必要だと訴える。

(参考記事:塩水にアヘンを混ぜて注射…医薬品不足の北朝鮮で「死の民間療法」

国も無償医療システム崩壊を問題視しており、調査や患者からワイロを受け取った医療関係者の処罰など対策を行っている。しかし、医療関係者がワイロを受け取らなければ生活できない、医薬品の原材料を輸入に頼らざるを得ないという、根本的な問題が解決を妨げている。

(参考記事:北朝鮮が病院に対する実態調査「医師からのワイロ要求が常態化」