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北朝鮮で先月、全国的に「戦時歌謡隊列合唱行進」という行事が、「復讐決意集会」と同時に行われた。国営の朝鮮中央通信は、その様子を次のように伝えている。

青年学生の復讐決意集会と戦時歌謡隊列合唱行進

【平壌3月24日発朝鮮中央通信】朝鮮人民の生の全部であり、幸福の基盤である共和国を抹殺しようと戦争の暗雲を刻一刻もたらしながら必死になって狂奔する敵に対する500万青年の対敵意志が日増しによりいっそう激しく噴出している。

米帝とかいらい逆賊一味の無分別な反共和国圧殺策動を断固懲罰するための青年学生の復讐(ふくしゅう)決意集会と戦時歌謡隊列合唱行進が22、23の両日、全国各地で行われた。

各集会の場所には、過去の祖国解放戦争(朝鮮戦争)で喫した惨敗の羞恥も、数十年にわたる対朝鮮圧殺政策の総破綻(はんたん)(編集部註:ふりがなママ)の教訓も忘却して無謀に振る舞っている侵略の群れ、希代の逆賊を容赦なく掃討するという青年たちの敵撃滅の気概が満ち溢れた。

(中略)

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敵撃滅のスローガンを叫ぶ青年たちの怒号した喚声が全国の津々浦々で響き渡った。

青年学生の戦時歌謡隊列合唱行進も行われた。

「祖国防衛の歌」「進軍また進軍」などの歌を高らかに歌いながら青年学生たちは、偉大な戦勝世代の子孫らしく英雄朝鮮の百戦百勝の歴史と伝統をしっかり継承するという誓いを固めながら通りを行進した。

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党が南進の命令を下せば、勇躍立ち上がって民族の悲願である祖国統一の歴史的偉業を必ず成し遂げるという青年前衛の剛勇な気概は天地を震撼させた。---

この行事には、皆がおそろいの「戦時用服装」なるものを着て参加せよとの指示が出たが、直前にこの服が品薄となり、参加者は服を求めてあちこちをかけまわることとなった。黄海南道(ファンヘナムド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

北朝鮮の中央当局は先月、全国で戦時歌謡隊列合唱行進を行え、参加者は労農赤衛隊(民兵組織)戦時用服装を着用せよとの指示を下した。この指示で、全国の市場がてんやわんやの大騒ぎとなった。

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全国同時に行うように指示が下された上、ほとんどすべての人に対して行事に参加するように指示が出されたため、他人から借りることもできず、多くの人が市場に殺到した。

各地の市場では戦時用服装やカーキ色の服地があっという間に売り切れた。商人たちはあらゆるコネを使い、軍用品の服地を横流ししてもらって通常の2〜3倍の値段で売り出したが、それでもあっという間に売り切れてしまったという。

コロナ不況にあえいでいた市場は久しぶりに賑わいを取り戻したが、当局はこれを問題視した。

(参考記事:ゼロコロナ不況で生き残りに苦しむ北朝鮮の商人たち

状況報告を受けた朝鮮労働党黄海南道委員会の軍事委員会は、黄海南道安全局(県警本部)に、軍用品が横流しされる事態をすみやかに収拾するよう指示した。具体的には、市場で売られている帽子、服地のロールなど軍用品を売っている商人を見せしめとして捕まえ、「国が苦しいときに、自分の懐を肥やす寄生虫のような者ども」と辱めるように指示を下した。これを受け、取り締まりが今月5日から始まった。

また、道内の海州(ヘジュ)に駐屯する朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の第4軍団の後方司令部(補給担当部署)から、戦時歌謡隊列合唱行進の指示が下された後、1000疋もの服地が消え、市場に横流しされたことが確認された。朝鮮では一般的に1疋は40尺なので、1212メートルになる。121万2000メートル分の服地が横流しされたということだ。

これが何着の戦時用服装になるかは不明だが、27万を超える海州市民全員に行き渡るほどではないだろう。

横流し品を売った容疑で検挙された商人は、労働鍛錬隊(軽犯罪者を収監する刑務所)送りとなった。また、第4軍団は、横流しに関与した後方司令部の複数の責任軍官(将校)を軍法に基づき、撤職(更迭)させた上で除隊させる処分を下した。

北朝鮮で、この手の横流しは普段から至る所で行われており、関与した人たちは「大儲けできる絶好のチャンス」と考えたのだろう。しかし、あまりにも混乱が大きくなってしまい、運悪く摘発されてしまった。当局は「見せしめにしてやる」と息巻いているものの、そんなことで横流しがなくなるのだったら、とっくの昔に根絶されていただろう。

(参考記事:汚職や横流しに「宣戦布告」を繰り返す北朝鮮行政の泥沼

国家が慢性的なモノ不足を解消しない限り、こうした現象はなくならないのだ。