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中国と国境を接し、北朝鮮でも指折りの貿易都市として栄えてきた両江道(リャンガンド)の恵山(ヘサン)。

だが、北朝鮮当局が2020年1月、新型コロナウイルスの国内への流入を防ぐとして国境封鎖、貿易停止という極端なゼロコロナ政策に舵を切ったことが、地元経済に大ダメージを与えた。市場から活気が失われ、市民の多くが食うや食わずの生活を強いられるようになった。

そんな中でも、なんとか生き延びようとして苦しんでいる商人たちがいる。現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

(参考記事:「もう生き残れる者などいない」飢えに苦しむ北朝鮮国民の肉声

恵山の市場で機械類を扱ってきた商人は、国境封鎖で中国製品が入荷しなくなり、あったとしても価格はコロナ前の4〜5倍。そもそも日々の糧を得るのに精一杯な人々が多く、高価な機械類を買おうとする人が減ってしまった。店を毎日開けたところで、週に1〜2台売れたらマシな方だという。

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そこで彼らが扱い始めたのが、中古品だ。ある商人が、家にあった中古品を市場で売り始めたのを見て、他の商人も見習って、皆が売るようになったとのこと。具体的な品目は不明だが、価格は1000北朝鮮ウォン(約16円)から1万北朝鮮ウォン(約160円)。だが、5000北朝鮮ウォン(約80円)以上では買い手がつかず、結局値段を下げるしかない。

「中古品を売っている」との噂が広がり、多くの消費者が訪れるようになった。そして、1日に1000北朝鮮ウォンでも儲けが出るようになった。だが、これではまともな生活は営めない。

デイリーNKの定期調査によると、今月19日時点での恵山のコメ1キロの価格は6100北朝鮮ウォン(約98円)、トウモロコシは3300北朝鮮ウォン(約53円)。今月5日と比べてそれぞれ5%と6%上昇している。1000北朝鮮ウォン儲けたところで、何の足しにもならないのだ。

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かつてのような活気を取り戻すためには、早急な国境の開放、貿易の再開が唯一の道だ。

期待の高さからか、地元では「貿易再開説」が度々頻繁に飛び交う事態となっている。しかしそうなるとしても、状況はコロナ前とは異なる。北朝鮮当局は、国が貿易を司る「国家唯一貿易体制」の確立に躍起になっており、「貿易再開などに期待するな」などと噂を否定しているが、貿易に頼って過去数十年生きてきた市民には無理な話だ。

社会主義計画経済の復活という「机上の空論」に、北朝鮮の人々はいつまで振り回されるのだろう。

(参考記事:北朝鮮当局も抑え込めない「3月に貿易を全面再開」説への期待