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中国は、脱北して自国に逃げ込んできた脱北者を、見つけ次第逮捕して、北朝鮮に強制送還してきた。迫害の危険に直面している人を送還してはならないという、難民条約の「ノンルフールマン原則」に反する行為だが、中国は「脱北者は経済目的の違法入国者だ」として、難民とは認めていない。

しかしこの3年、強制送還はストップしている。

北朝鮮は2020年1月、新型コロナウイルスの国内流入を恐れるあまり、国境を封鎖して物と人の出入りを完全に止めてしまった。これに伴い、中国側から送還対象者の受け入れ要請があっても、一切拒否している。

多くの人の命を奪ったコロナだが、結果的に脱北者を処刑を含めた処罰から救っていた。とはいえ、これはあくまでも一時的な措置だ。最近の中国政府の動きに、中国国内にいる脱北者が恐怖に震えていると、現地のデイリーNK情報筋が伝えた。

(参考記事:「20代の妊婦」新型コロナで命拾い…北朝鮮送りを免れる

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最近中国で、人身売買に加担した容疑で脱北者が逮捕される事件が起きた。それをきっかけにして、「中国が脱北者の割り出しに乗り出して、対象者を逮捕して北朝鮮に送り返す」との噂が脱北者の間で急速に広がった。

明確な根拠はないのだが、すでに収容所に入れられている脱北者もすべて送還されると噂されている。潜伏中の脱北者の中には、友人や知人との連絡を絶ったり、身を隠したりする人も現れている。家族にさえ連絡しない人もいて、家族は必死になって探している。

脱北者は、「中国に行けば楽な暮らしができる」という話を信じてやってきたが、公民証(IDカード)を持っていないため、長距離移動やまともな仕事ができず、農家での雑用などで現金収入を得ている。経済的にも法的にも不安定な状態の中で、真偽不明の噂にいっそう不安を募らせている。

(参考記事:中国公安「在住公認」の脱北女性を次々逮捕で広がる不安

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噂が本当だとすれば、生き延びる道は韓国行きだけだ。しかし、それもリスクが高い。別の情報筋は、韓国行きを目指していた脱北者が次々に逮捕され、北朝鮮に送還されるかも知れないとの噂が出回っているとして、韓国に安全に行ける日が一日も早く来てほしいと述べた。

北朝鮮に残してきた家族に類が及ぶことを恐れ、韓国行きを諦めて中国で暮らす決心をする人も少なくないが、噂に踊らされ、不安に身を震わせている。