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中国は、自国に入ってきた脱北者を「経済目的の不法入国者」とみなし、発見し次第、逮捕して強制送還している。

しかし、中国人男性と結婚して子どもを産み、地域社会で問題を起こさずに暮らしている脱北女性に関しては、公安当局に登録させた上で管理下に起き、滞在を認めるようになっていた。ところが、最近になってそれら女性が逮捕される事例が相次ぎ、脱北女性やその家族は恐怖に震えていると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

(参考記事:脱北女性の「強制結婚・人身売買」で中国に態度変化の兆し

吉林省の中国朝鮮族の情報筋は、先月から省内で脱北女性が次々に公安当局に逮捕されているとの話が伝わっているとし、そのほとんどが中国人男性と結婚して家庭を持ち、平穏に暮らしていた女性たちだと伝えた。

一例を挙げると、省内の通化市郊外の村で暮らしていた30代後半の脱北女性は、突然やってきた公安に逮捕され、収容所に入れられてしまったという。女性は中国人男性と結婚して子どもを持ち、10年近く暮らしてきた。彼女が脱北者ということは村人なら知っていたが、特に問題が起きたことはなかったという。

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彼女は、行くあてのない脱北者に食べ物や着る物を提供し、仕事と家を斡旋するなどの活動を行い、その善行で広く知られていた。それだけに、村人は非常に残念がっているとのことだ。後に残された9歳の子どもは、母親を探して泣き続けており、村人は「とても見ていられない」と公安に釈放を嘆願している。

公安が彼女にかけた容疑は人身売買。彼女の熱心な活動を見守ってきた村人は、その容疑に首をかしげつつも、目立つ活動をしたことで公安に目をつけられたものと見ている。

7月の1ヶ月で、通化市内で逮捕された脱北女性は2人。地域住民は「子どもを産んで普通に暮らしてきた人に罪をかぶせて捕まえて、母親を失った子どもはどうなるのか」と、公安当局の非人道的なやり方を強く批判している。

(参考記事:脱北者支援の牧師殺害、背後に孤児ねらう「臓器密売」組織か

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一方、遼寧省瀋陽の朝鮮族情報筋も、市内で脱北女性が次々に逮捕されていると伝えた。先月中旬、知人の朝鮮族男性から、瀋陽駅付近の食堂で働いていた恋人(脱北女性)との連絡が途絶えたと、助けを求める電話がかかってきたという。

その4日後、彼女が逮捕されていたことがわかった。食堂で働いている途中に急にやってきた公安に逮捕され、衝撃のあまり呼吸困難を起こして失神、収容所内の病院で治療を受けているとのことだ。

この女性は公安の目を避け、携帯電話を借りて男性に連絡してきた。収容所には自分以外にも10人の脱北女性が収監されていて、もし強制送還されたら二度と戻ってこれないと言っていたという。それを聞いた男性は、泣き暮らしているとのことだ。

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そんな話が広がり、脱北女性とその中国人の夫らは不安に怯えている。以前なら問題を起こさない限りは滞在が黙認されていた脱北女性だが、公安は積極的に逮捕する方針に転換したと見られる。

北朝鮮は現在、新型コロナウイルスを理由に、強制送還対象者の受け入れを拒否している。そんな中で、公安当局が脱北女性を積極的に摘発する方針に転換した理由はわかっていない。

国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチによると、先月22日の時点で、中国では少なくとも1170人の脱北者が収容所に収監されている。吉林省の長春刑務所には男性450人、図們325人、臨江市104人、長白朝鮮族自治県47人、遼寧省瀋陽64人、丹東180人の脱北者が収監されており、救出が急がれると同団体は訴えている。

(参考記事:中国の収容所が「超満員」に…食糧難で脱北者が増加