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数年来、著しい食糧不足が続いている北朝鮮。具体的な数は不明ながら、各地で餓死者を出す事態となっており、比較的豊かな首都・平壌でも、食べ物が底をついた「絶糧世帯」が続出している。

そんな中で、当局がぶち上げたのは解決策に北朝鮮国民は呆れ返っている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋によると今月5日、中央から「食糧節約闘争を力強く繰り広げることについての宣伝扇動事業を強化せよ」との指示が下された。穀物の無駄使いをなくそうという思想教育と共に、そのような現象を取り締まるというのが指示の骨子だ。

朝鮮労働党の各組織は、食糧節約に関する講演資料を制作し、住民を対象とした講演会で周知させようとしている。穀物を無駄にする者は、国の食糧事情をさらに緊迫させ体制を脅かす反逆行為として処罰するというものだ。また、今後は冠婚葬祭の席で穀物を使った料理を出すことは許されず、野菜、果物、魚で作った料理を出すよう指示している。

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それを聞いた国民の間からは「無駄にする食べ物などどこにあるのか」と、当局の指示に呆れたとの反応を示している。情報筋は「当局が食糧増産を声高に叫んだのに食糧不足が悪化し、その責任を人民になすりつけようとしている」「(結婚式に来た)客に麺一杯出すなというのは、今度は冠婚葬祭を省略しろということに他ならない」などと批判している。

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同様の警告は、幹部やトンジュ(金主、ニューリッチ)にも出されているが、彼らに対する取り締まりが行われるかについて、一般庶民は疑問を抱いている。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋は、今月8日の朝鮮人民軍(北朝鮮軍)創建記念日の祝日に、食事を楽しもうとしていた多くの将兵たちが、今回の指示で宴会ができなくなり、非常に落胆していると伝えた。

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密造酒については、穀物を無駄にする行為として重犯罪扱いするとの警告があった。最高で1年の労働教化刑(懲役刑)、穀物はすべて没収というものだ。密造酒を醸造、販売して暮らしを成り立たせてきた人々は、今後どうやって暮らしていけばいいのかわからないと頭を抱えている。

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情報筋は、「党中央委員会全体会議、最高人民会議など数多くの会議のたびに、人民生活を改善すると騒ぎ立てているが、結論は住民に犠牲を強いるものだ」として、食糧不足に根本的な対策を取らない当局を批判している。

そんな中で不幸中の幸いと言うべきは、穀物価格が下落傾向にあることだ。

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例年なら1月末から2月初旬にかけて上昇傾向が始まり、麦の収穫が始まる初夏まで高値となるが、先月22日に平壌の市場で1キロ5480北朝鮮ウォンだったコメは、今月5日に5200北朝鮮ウォンとなったと、デイリーNKの調査で明らかになった。新義州(シニジュ)や恵山(ヘサン)でも同様の傾向となっている。(1000北朝鮮ウォンは約16円)

また、救荒作物であるトウモロコシの価格もほぼ安定しており、恵山では13.8%も下落した。

昨年は凶作となった北朝鮮農業だが、中国やロシアから輸入したコメ、小麦、トウモロコシを、朝鮮人民軍創建日に合わせて除隊軍官(退職した将校)、栄誉軍人(傷痍軍人)、現役軍人に安値で供給したことが影響しているものと見られる。

(参考記事:北朝鮮国民が「大量餓死」を想起する”インディカ米騒動”