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中国には北朝鮮から派遣された労働者が、約10万人いると言われている。その多くが集まっているのが、北朝鮮と川を挟んで向かい合う遼寧省の丹東だ。

彼らの派遣に際しては、国連加盟国に北朝鮮国民の新規雇用を禁じた国連安全保障理事会の制裁決議を回避するため、技能実習のビザや、国境沿いの地域の住民にだけ発行されるパスポートなどを悪用する手法が用いられている。ただ、この手法だと滞在期間の更新のため、一定期間ごとに一時帰国する必要があるが、丹東ならばその手続きが楽なのだ。

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中国以上の極端なゼロコロナ政策を取る北朝鮮は、2020年1月に自国民の帰国すら禁止して鎖国状態に入り、労働者の滞在期間が無期限で伸びていた。しかしここへ来て、彼らを帰国させて人員を入れ替える方向で検討が進められていると、デイリーNKの情報筋が伝えた。

中朝国境の川に架かる橋は現在、貿易取引のための物資の通過だけが認められている。これが3月中旬から下旬を目処に、人の通行にも開放することが検討されているという。

本来の派遣期間は3年だが、すでに6年以上にわたっている人も少なくなく、早期の帰国を望む人もいる。国境の開放は昨年秋にも検討されたが、実現していなかった。中国のゼロコロナ政策の終了に伴い、凄まじい勢いで感染が広がったことから、断念または無期延期になったものと見られる。

(参考記事:コロナで中国に足止めの北朝鮮労働者、ようやく帰国へ

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今回の人員入れ替えも、できるだけに早期に行いたいというのが中朝両国の意向だが、情報筋は「コロナ問題のせいで(労働者の帰国)時期が確定していない。状況が適切だと判断されればすぐに入れ替えが行われる」と、再び延期される可能性を示唆している。

労働者は従来、丹東辺境経済合作区、臨港産業園区、東港経済区などの経済開発区のみならず、大都市近郊の従業員2〜30人ほどの小さな工場にも派遣されていた。これは派遣業務を行う北朝鮮系の貿易会社が、中国企業から要請が入る都度、人員を派遣していたためだ。ただ、こうした小規模な職場では労働者が統制を逃れ、勝手に外出したりすることもあり、管理上の問題が存在した。最悪のケースは脱北だ。

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それを受けて北朝鮮領事館は最近、自国の労働者を雇う契約を結んだ中国企業と、労働者の管理を行う貿易会社に、「今後は工場を経済開発区に移転しなければならない」との指示を伝えた。

中国当局により出入りの統制された開発区内ならば、労働者の移動は工場と寄宿舎の間だけで済むため、管理が非常にしやすいのだ。また、中国当局や企業の立場からしても、北朝鮮労働者を雇っていることが外部に漏れて、国際社会の批判を浴びるリスクを最小化できるメリットがある。

経済開発区は中国の地方政府が管轄しているため、企業や北朝鮮が決定できるものではないが、上述のような指示があったということは、すでに丹東市や遼寧省との協議が終わっているからというのが情報筋の説明だ。