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農業第一主義を掲げ、生産高増産に力を入れてきた北朝鮮。ところが、コロナ鎖国による肥料などの不足、相次ぐ自然災害、労働力不足などで、今年の農業は散々な結果に終わった。

そんな状況にほくそ笑んでいるのが、地方の貿易会社だ。

(参考記事:凶作続きの北朝鮮農業、打開策は「ホラ防止法」

デイリーNKの内部情報筋によると、北朝鮮当局は最近、地方の貿易会社に対して「コメやトウモロコシの輸入ができるのなら、貿易に参加できるように許可を出す」と伝えた。

深刻な凶作で、国内生産分だけでは穀物の需要を満たせない状況であることを把握した当局は、対外経済省を通じて、穀物を調達できる中国の業者とつながりがあり、過去に正常な形の輸入に携わった実績がある貿易会社に対して、最大限で貿易の許可を出す方針を下したのだ。

コロナ前は、独自の裁量で合法・非合法の輸出入を行っていた地方の貿易会社だが、国に貿易の主導権を握られたことで、自由な貿易ができなくなり、苦境に立たされていた。そこに降って湧いた今回の話に、中国と国境を接していながら、新しい貿易体制下で冷遇されていた両江道(リャンガンド)や咸鏡北道(ハムギョンブクト)の貿易会社の間では、期待が膨らんでいる。

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(参考記事:「ヤミ金から資金調達」青息吐息の北朝鮮貿易会社

当局は2020年1月の国境封鎖後、貿易の9割以上を南浦(ナムポ)港、松林(ソンリム)港を出入りする船舶で行っていたが、まもなく陸路での貿易も拡大するのではないかと見られている。

期待の高まりに伴い、米ドルのブラックレートも上昇している。先月27日には1ドル(約137円)が8400北朝鮮ウォンで、1月11日の4720北朝鮮ウォンと比べて、大幅なドル高となり、今年の最高値を更新した。

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対外経済省は現在、各貿易会社から提出された穀物輸入計画書を検討している。ちなみに、輸入そのものは貿易会社が行うが、各地方の農村経営委員会、協同農場からの依頼に基づくという形だ。これは、国家食糧販売所(国営米屋)から今後6カ月間販売する穀物の調達を指示されたが、不足しているために、貿易会社に穀物輸入を依頼したものだ。

期待を膨らませているのは、地方の貿易会社だけではない。コロナ前は密輸を行っていた民間の貿易業者も、貿易拡大に便乗して、密輸を試みる可能性が指摘されている。

貿易管理委員会は、輸入品目と量を正確に国に報告さえすれば民間業者も貿易に参加できるようにする、その代わりに輸入量の2割は必ず税金として納付せよとの政策を示していると情報筋が伝えているが、税関職員と結託するなどして、数字をごまかすことなど朝飯前だろう。

(参考記事:北朝鮮が国ぐるみで進める「松の実」の国家密輸