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北朝鮮の各道では、様々な国家機関が複数の貿易会社を立ち上げ、国から得たワック(取扱い枠)の範囲内で輸出入を行っていた。同時に、密輸にも手を染めていた。

このように、地方が比較的自由に貿易を行っていたが、今では国が貿易の主導権を握るようになり、かつてのような自由な貿易は難しくなってしまった。それにより苦境に立たされた地方の貿易会社は、ヤミ金から資金調達を行うようになった。両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

(参考記事:貿易依存の現実を見ず「自力更生」の妄想を続ける北朝鮮

道内の貿易会社は、政府が2020年1月、新型コロナウイルスの国内流入を防ぐため国境を封鎖し、一切の貿易を停止したことで大打撃を受けた。さらに、国家中心貿易への転換で、税関で通関を受けての合法的な貿易を強いられ、密輸で儲けてきた彼らはさらなるダメージを負い、資金難に苦しめられるようになった。

資金調達に困った貿易会社が助けを求めたのは国ではなく、地元のトンジュ(金主)――すなわち「ニューリッチ」だ。北朝鮮では違法となっている貸金業ではあるが、銀行が機能不全に陥っているため、資金を手早く調達するにはトンジュに頼る以外方法はないのだ。また、密輸ができなくなって困っているのはトンジュとて同じ。そこで彼らは、貸金業に力を入れているのだ。

トンジュは一般庶民相手にも貸金業を行っているが、あまり儲からないどころか、踏み倒されるケースも少なくないのだという。

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「一般住民にカネを貸したところで、(儲けは)元を取れないほどにしかならないため、貿易会社に高金利でカネを貸している」(情報筋)

(参考記事:農民も借金取りも途方に暮れる北朝鮮の農村の冬

利子は、借りた額と期間によって異なるが、2〜3割とかなり高い。このようにして調達した資金で、石炭などの鉱石、薬草などを買い求め、中国に輸出している。

しかし、返済不能に陥るケースも少なくない。

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恵山(ヘサン)所在の某貿易会社は、今年9月にトンジュから3割の利子でカネを借りて、北朝鮮で買い集めた商品を中国に輸出した。ところが、中国側の業者から、品質が一定レベルに達していないとクレームを付けられ、代金を支払ってもらえなかったのだという。

その話を聞きつけたトンジュたちは、一斉に貿易会社と社長の自宅に押しかけ、カネを返せと騒ぎ立てている。一般住民よりは信用が高いとは言え、先が見通せない状況で、貿易会社にカネを貸すのは非常にリスキーだ。

「トンジュたちは高金利で金を貸しているが、リスキーで心配が尽きないようだ」(情報筋)

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実際、貿易会社が不渡りを出して倒産したケースもあったと情報筋は言及している。

密輸が常態化していたコロナ前の状況は、決して褒められたものではない。そんなむちゃくちゃな状況を脱し、商品と外貨の流れをすべて把握するというのが、今の政府が目指す貿易政策だ。

しかし、そのことで貿易会社はもちろん、密輸で生計を立てていた住民、彼らからワイロを受け取っていた安全部(警察署)や保衛部(秘密警察)、国境警備隊まで苦境に追い込まれてしまい、地域経済が壊滅状態に追い込まれてしまった。地域全体が「元の濁りの田沼恋しき」と嘆いているのだ。

(参考記事:「三方よし」の共生システムを壊し全員が損をする北朝鮮の経済政策

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