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北朝鮮で収穫期を迎えた松の実。マツ科マツ属の樹木であるチョウセンゴヨウ(朝鮮五葉)に成り、古くから食材や漢方薬として珍重され、中国にも輸出されてきた。

対外経済省は先月、各道の貿易局に対して、松の実の収穫を急げとの指示を下した。収穫を急がせるのは、それなりの訳がある。

両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋は、松の実が全国的に収穫期を迎えたことを受けて、各道の貿易局が、道内の松の実を一つ残らず、買い取るように指示を下した。

松の実を巡っては、地方政府と地元企業、地域住民が争奪戦を繰り広げ、勝手に中国に密輸したりしていた。また、外貨稼ぎ事業所の買い取り価格もかなり高く、地元企業や地域住民の貴重な収入源となっていた。

(参考記事:北朝鮮で過熱する「金のなる木」の争奪戦

これを問題視した対外経済省は、個人単位の松の実の密輸を徹底的に遮断し、地域住民が取った松の実を安値で買い取り、大紅湍(テホンダン)郡の三長(サムジャン)税関を通じて中国の業者に密かに輸出する「国家密輸」を進めてきた。これは、国が主導しつつも、通常の通関手続きを経ずに輸出するものだ。

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(参考記事:北朝鮮・両江道で2年ぶりに「国家密輸」再開

当局は、国境を流れる川の水の流れが速く、地域住民が密輸のために渡れない8月に収穫を急がせ、今月5日にも同様の指示を下した。

コロナ前のように自由に密輸ができなくなった地域住民は、道内の市・郡の外貨稼ぎ事業所に、松の実を買い叩かれつつも、仕方なく言い値で売り払っている。

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また、過去2年間は、収穫しても販路がなく、腐らせていたことを考えると、安値でも買い取ってもらえるだけマシだと考える人もいるとのことだ。ちなみに、過去2年半のコロナ鎖国により、松の実の買い取り価格は、さほど上がっていない。

両江道の安全局(県警本部)、保衛局(秘密警察)にも、この機会にカネを稼いで、国家計画(上納金のノルマ)の遂行に乗り出せとの指示が下された。