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北朝鮮の人々は今や国家の配給ではなく、市場に生活のすべてがかかっている。国営企業や国の機関に勤務したところで、まともな給料や配給がもらえるわけではない。そのため市場で商品を売って現金収入を得て、それで食料品や生活必需品を買うことで生計を成り立たせている。

それだけに、人々は市場に関する規制に非常に敏感だ。コロナ禍で当局が市場を閉鎖する措置を取ったが、人々の抗議に遭って再開に追い込まれた。その後、営業時間が延長されたが、またもやそれを短縮し、人々の怒りを買っている。

(参考記事:北朝鮮が市場の営業時間を延長、世論を意識した措置か

両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋は、今月1日から恵山(ヘサン)市内の市場の営業時間が14時からから19時だったのが、17時までに短縮されたと伝えた。

これは、社会安全省(警察庁)が2020年8月に、国境に接する地帯に出した夜間通行禁止令に基づいた措置だ。夏季は20時から翌朝5時、冬季は18時から翌朝7時までだ。

(参考記事:北朝鮮が夜間通行禁止令を強化…警察に「見せしめ逮捕」指示

金正恩総書記は今年8月、「防疫大戦の勝利」を宣言、最大非常防疫体系を正常防疫体系に転換したにもかかわらず、国境封鎖は続けられ、国境沿いの地域には様々な制限が加えられたままだ。

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「住民は、市場の営業時間がそのまま維持されると思っていたのに、期待とは異なり、10月から時間が短くなり、唖然としている」(情報筋)

冬の訪れが早い恵山では、10月ともなればキムチ用の野菜、暖房用の薪など越冬用品を買い求める客で市場は賑わう。その儲け時を半分奪われたことで「国が宣伝するように、もう悪性ウイルス(コロナ)がいないから、商業活動も安心してできるのじゃないなかったのか」「いったいどうやって暮らしていけばよいのか」(恵山市民)という不満の声があがっている。

市場に対する制限強化はそれだけでない。

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別の情報筋によると、両江道人民委員会(道庁)の商業局は、恵山市内の市場で、複数の売台(ワゴン)を使っている商人がどれくらいいるかを調査していると伝えた。これは、売台を2つ以上使っている商人からは、そのうちひとつを没収する措置を取るためものだ。

市場では手広く商売している人、サイズの大きい商品を扱っている人などが、複数の売台を使用しているが、没収される前に売りに出す人も出てきているとのことだ。だが、不景気の中で思ったように売れず、一度に多くの売台が売りに出されたため、価格も下落しているとのことだ。

今回の措置は、没収した売台を市内の人民班(町内会)に貸し与え、生活の苦しい世帯に無料で貸し出すのが目的だという。中央から指示された貧困対策であり、市場管理税(ショバ代)を支払えず、市場周辺の道端や住宅街の路地裏で露店を広げて商売するイナゴ商人対策でもあると思われる。

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(参考記事:「栄養失調の子どもに粥だけでも…」すがる女性に強制労働の冷酷非情

元来、複数の売台の所有は違法だが、市場管理所や地域幹部とのコネがある商人にとっては当たり前のことで、特に取り締まりの対象にもなってこなかった。

今回の取り締まりも、結局は商人と行政幹部のワイロのやり取りで、うやむやになってしまうことは十分にあり得る。