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北朝鮮において、最も一般的な燃料は石炭だ。国内に上質な石炭を産出する炭鉱が多く存在し、最も手に入れやすいからだろう。また、供給が不安定な電気とは異なり、いつでも使える利点もある。暖房が止まれば、生死にかかわるほど冬の寒さが厳しい北朝鮮の気候条件も関係している。

そのせいで、一酸化炭素の中毒事故が後を絶たず、多くの貴重な人命が失われている。それもあって、首都の平壌はもちろん、地方住民の中でも経済的に余裕のある人は、プロパンガスを使おうとする。

(参考記事:北朝鮮・平壌でバカ売れする「練炭ガス警報器」

脱北者である韓国デイリーNKのカン・ミジン記者によると、平壌では1970年代初頭から、特権階級に対する都市ガスの供給が始まり、その後は市内全域に広げられたが、未曾有の食糧難「苦難の行軍」の起きる前の1990年代初頭に中断してしまった。その代わりに、プロパンガスを市場で購入して使う人が増え、2010年代に入ってからは、地方でも裕福な人々の間にガスの使用が広まった。ガスが、一種の富の象徴となっているのだ。

平壌市民同様に優遇されているのが、軍需工場で働く人々だが、北朝鮮当局は、彼らに対してガスの供給を行うように指示を下したと、平安北道(ピョンアンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

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朝鮮労働党中央委員会は、平安北道委員会に対して、道内の大館(テグァン)郡の軍需工業部門の発射場、射撃場、試験所の従業員とその家族に対して、家庭用のガスと、ガスで動く通勤用のバスを支給するように指示した。

元々、郡内にはガス充填事業所が存在したが、充填所を2ヶ所、供給所を1ヶ所増設することにし、工事は9月初めに始まる。バスにもガスを入れられるようにし、来年から非常に安い国定価格で、1200人の研究者に四半期ごとに15キロのガスを供給する計画だ。

党の平安北道委員会は、自らの予算でプロジェクトを進め、軍事工業書記は、わざわざ現地を訪れてプロジェクトの推進状況を視察するほどの力の入れようだ。

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北朝鮮国内を移動するには、国内用パスポートに当たる旅行証明書が必要だが、慈江道(チャガンド)など軍需工場の密集地帯に行くには、承認番号の入った別の書類が必要になる。平安北道で唯一、そんな地域に該当する大館郡だが、他の同様の地域と比べて冷遇されていたという。

「(核施設のある)寧辺(ニョンビョン)同様に重要な大館軍需工業地区なのに、相対的に疎外されてきた。働く人々とその家族の生活の助けになる家庭用ガスを国定価格で供給するのは破格のことで、一般従業員であっても幹部の待遇を受けるも同然だ」(情報筋)

歓迎する声がある一方で、「ガスよりもまずは食糧配給を」という声も上がっている。他の地域の住民は、配給が途絶えているため、市場での商売で生活を成り立たせているが、軍需工場の密集地帯の住民には、国から配給が続けられ、それに頼り切った生活をしている。それなのに、食糧配給は充分でない。それでこんな声が出ている。

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「食糧事情のよくない家では、腹をすかせたままでガスを使うのは身分不相応だからと、『ガス屋』(ガスの売買をする個人業者)にガスを売り渡し、そのカネで市場でコメを買わなければならない」(情報筋)

(参考記事:「もう耐えられない」北朝鮮の軍需工業地帯で響き渡る悲鳴