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北朝鮮の穀物価格の上昇については、デイリーNKでも繰り返し報じているが、収まる兆しが見えないようだ。

麦の収穫の季節を迎えたにもかかわらず、コメ価格は昨年と一昨年の同時期と比べ4割以上も上昇し、7月以降も上昇を続けている。しかし、当局は手をこまねいてみているだけだという。

(参考記事:進むドル高、物価高でますます苦しい北朝鮮庶民の暮らし

デイリーNKが定期的に行っている物価調査によると、今月26日のコメ1キロの価格は、平壌6280北朝鮮ウォン、新義州(シニジュ)6300ウォン、恵山(ヘサン)6800ウォンで、今月10日と比べて5〜600ウォン上昇している。(1000北朝鮮ウォンは約20円)

コロナ感染の拡大による封鎖令(ロックダウン)により、流通がストップし、一時的に穀物価格が急騰することはあったが、全国的にコメ価格が6000ウォン台に達したのは、2017年9月以来初めてのことだ。北朝鮮のコメ価格は、収穫が始まる直前に最高値に達し、始まった後は下落するものだが、今年の上がり方は非常に急だ。

救荒食物であり、貧困層の主食であるトウモロコシの価格も急騰し、全国的に3000ウォン台に達している。2020年1月にコロナ鎖国が始まった直後、トウモロコシ価格はコメ価格の4分の1だったが、生活困窮でトウモロコシを買い求める人が増え、今では2分の1となっている。

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麦の不作も相まって、各地では絶糧世帯(食糧が底をついた世帯)が続出していると伝えられているが、当局は効果的な対策を出すはおろか、別の目論見を持って現状を見ているようだ。

(参考記事:「コロナより死者が多い」北朝鮮国民が恐れる”異次元の災い”

当局は、穀物販売の主導権を市場から取り戻し、穀物価格の安定を図るため、国営の食糧収買商店(国家食糧販売所)だけに穀物の販売を認めた。北朝鮮の経済部門の高位情報筋によると、当局は穀物価格が上昇する現状を問題として認識せず、食糧収買商店の信頼度を高める良い機会だと考えている。

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消費者は、市場の高い穀物価格を嫌い、比較的安価で穀物を購入できる食糧収買商店を利用するだろうという目論見だ。実際、平壌の店舗では、トウモロコシ1キロが2000ウォン、キュウリ、ナスなどの野菜が100〜200ウォンで販売されている。ただ、入荷量が充分でなく、常に販売できるわけではないとのことだ。

(参考記事:穀物販売権の独占を目指すも後退を強いられた北朝鮮

農家が、作物を高く買ってくれる市場の方を好むことが一因と思われるが、別の情報筋は、「中国から小麦粉とコメが輸入されている」と証言し、国内生産分だけでは不足する物量を、輸入で穴埋めし、食糧収買商店の信頼度を高めようとしていると見ている。

そのためには、消費者が多少犠牲になっても構わないというのだろう。人間中心を掲げながらも、人間を大切にしない北朝鮮らしいやり方だ。