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北朝鮮の国家非常防疫司令部が毎日発表している全国の有熱者(発熱患者)の数。5月12日に、国内での新型コロナウイルス感染者の発生を公式に認めた直後は30万人を越えていたが、右肩下がりを続け、12日発表分では900人と3桁まで減り、19日発表分は250人。

この数字を巡っては、虚偽報告ではないかとの指摘がなされているが、実際にどれくらいの感染者が出ているのか誰にもわからない。ただ、公式発表とは異なる現象が、各地で見られている。

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両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋は、今月に入って金正淑(キムジョンスク)郡で、伝染病(コロナ)の疑いがある患者が急増していると伝えた。症状は、一度感染したと思われる人が、再び高熱を出すというものだ。

郡の邑(中心地)のある人民班(町内会)では、高熱を出したことのある40人のうち、半分が再び高熱を出している。また、10人が最近になって初めてコロナを疑わせる症状を見せている。他の人民班でも20人が現在、高熱に苦しめられている。中には家族全員が発熱するケースもあるとのことだ。

一般的に、一つの人民班には20世帯から40世帯が所属することを考えると、感染率はかなり高いようだ。ただ、PCR検査や抗原検査のキットがないため、本当にコロナなのか診断ができない。地域担当の医師が1日3回、各世帯を回って症状を確認するのがすべてだ。

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情報筋は、これ以上の患者がいる可能性を指摘している。感染拡大を受けて、地域に封鎖令(ロックダウン)が敷かれると、外出もままならなくなり、コロナではなく飢えで死に追いやられる可能性が高くなる。また、市場の営業停止による経済的苦境も、人々を死に追いやる原因となりうる。

(参考記事:餓死者発生でようやく一部緩和された北朝鮮のロックダウン

症状を訴えたところで、医薬品や食糧の支援をしてもらえるわけでもなく、環境が劣悪であるとして悪評が広がっている隔離施設に入れられてしまうかもしれない。だから、症状があっても隠し通そうとする人もいる。

(参考記事:「入ったら生きて出られない」北朝鮮国民が恐れるコロナ隔離施設の惨状

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「病気でも病気と言えない世の中」
「コロナ前が、鉄格子のない監獄だとすれば、今は生き地獄だ」(情報筋)

情報筋は、コロナ対策としての国境封鎖と封鎖令が人々の生活の問題が、生死のかかった問題になったとして、非常防疫体制で締め付け一本槍の当局のコロナ対策を批判した。