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北朝鮮は2020年1月、コロナ対策として国境を封鎖し、すべての貿易を停止させた。同時に、市や郡の境界線を越えての移動も制限されるようになった。

また、国境沿いの地域を中心に、封鎖令(ロックダウン)がしばしば敷かれ、今年5月12日の国内でのコロナ感染者発生認定後は、全国を対象とした封鎖が行われた。6月に入ってようやく緩和されたが、2年半に渡って行われてきたコロナ対策は、北朝鮮の流通網をズタズタにしてしまったようだ。両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

(参考記事:餓死者発生か…北朝鮮、コロナ対策の都市封鎖を解除

封鎖緩和を受け、地域では期待が高まったものの、普天(ポチョン)、金正淑(キムジョンスク)、金亨稷(キムヒョンジク)など、両江道内の各郡の住民は、以前にもまして厳しい生活苦に直面している。

両江道の道庁所在地で、貿易都市、流通の中心地だった恵山(ヘサン)に対して、当局は度重なる封鎖令を敷いた。かつては恵山から道内の各郡に向けて、物資を運ぶトラックが毎日1台は通っていた。それが今では10日に1回に減ってしまい、物流量も6分の1になってしまった。

コロナ前には儲かる職業として脚光を浴びていたトラックやタクシーのドライバーだが、運行回数も運ぶ品物も激減したことで儲からなくなり、ガソリン代にもならないとして、長距離運行から手を引いた人々もいるという。

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(参考記事:北朝鮮のオヤジは「タクシー運転手」が夢の職業

もともと農地が少なく、製造業も発達していない両江道は、林業や鉱業、そして中国との密輸で経済が成り立っていた。だが、国際社会の制裁で、鉱物資源の輸出が困難になり、コロナ対策で密輸もできなくなり、以前のように物資やカネが集まらなくなってしまった。

また、長期間続く経済難で、都市、農村問わず、消費者の購買力が著しく低下、商品を運んだところで売れなくなってしまったのだ。

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農民は、現金の代わりに穀物で借金をして生き延びている。コメ1キロを借りたとすると、秋の収穫後に4キロにして返済する。トウモロコシの場合は、1キロ借りると返済は8キロだ。また、鎌1本を借りると、レンタル料としてトウモロコシ3キロを支払うことになる。

農村地域では、市場で商売しても儲からないため、このような形で物を貸し与えて生き延びようとしている。

だが、コロナ以前にも返済に行き詰まり、農村から逃げ出す人も少なくなかったことを考えると、経済状態がより深刻な今では、貸し倒れが続出することが懸念される。

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情報筋も、今年は不作が予想されており、商人たちも「元金」すら返してもらえないのではないかとため息を付いていると伝えた。

(参考記事:金正恩氏が警告も「悪循環」止まらず…協同農場の借金問題