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北朝鮮は、国内で新型コロナウイルス感染者が発生したことを認めた2日後の14日、全国に対して封鎖令(ロックダウン)を敷いた。一切の外出が禁じられ、市場の営業も停止させられた。

北部の両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)でも14日から無期限のロックダウンに入ったが、わずか10日で解除されてしまった。現地で何が起きているのか、両江道のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

(参考記事:北朝鮮・恵山でも14日から無期限ロックダウン

恵山市内ではコロナ防疫封鎖が少し緩和されたと述べた情報筋は、24日からは外出が許され、町内なら出歩くこともできて、近隣の売台(露天商)でちょっとした商品も購入できるようになったとも伝えた。

14日から23日までは、国の方針にしたがって一切の外出が禁止されたが、高熱に苦しむ人は薬も買いに行けず、あらかじめ食べ物の備蓄がなかった人は飢えに苦しむこととなった。

市内の馬山(マサン)2洞と3洞では14世帯、21世帯、春洞(チュンドン)では12世帯、恵花洞(ヘファドン)では7世帯などで、住民が倒れた状態で発見された。そのうち、何人が亡くなったのかは定かでないが、限られた地域の数字だけ見ても、食糧事情の深刻さがわかる。

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市内のある洞事務所(末端の行政機関)には、一人の女性が訪ねてきて、こう訴えた。

「10歳の息子と夫が飢えて倒れた」
「カネもコメもなく、食べさせられるものが何もない」
「伝染病が恐ろしいのではなく、食べられずに息子と夫を餓死させてしまうかもしれないことの方が恐ろしい」

だが、市当局にこれと言った対策はなく、「発熱患者が減っている」「われわれの政策の正しさが証明された」と言ったプロパガンダに熱を上げるばかりだ。

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ロックダウンとくだらないプロパガンダに住民の怒りは今まで以上に高まっていると、情報筋は伝えた。

恵山では2020年8月から昨年3月にかけて、合計4回のロックダウンが実施されているが、餓死者が続出したために市民の不満が高まり、地元当局ですらロックダウンに異を唱える状況となった。昨年3月のロックダウンはわずか1日で解除されている。

北朝鮮当局は、多少の餓死者が出たところで体制には何の問題もないと考えているのかもしれないが、コロナ感染で多くの死者が出ると、体制が揺らぎかねないと懸念しているのだろう。国民の生命を守ることより、体制を守ることが、北朝鮮当局にとっては至上命題なのだ。

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(参考記事:ロックダウンわずか1日で解除…北朝鮮「コロナ対策」の朝令暮改