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北朝鮮の平安南道(ピョンアンナムド)安州(アンジュ)市と文徳(ムンドク)郡の境にある標高536メートルの馬頭山(マドゥサン)。

朝鮮労働党機関紙・労働新聞は2014年2月、この山を紹介する記事で、金日成主席が抗日パルチザン闘争を行っていた1938年3月、司令部秘書処のメンバーからなる小部隊をここに派遣したとされ、革命戦績地に指定されており、金正恩第1書記(当時)も現地視察に訪れている。

国営の朝鮮中央通信は今年4月、山中で「死するとも革命信念捨てるまじ」「死んでも、生きてもわが国、わが民族のために」と刻まれた、いわゆる「スローガンの木」が発見されたと報じるなど、馬頭山は「第2の白頭山」とも言われ、金氏一家の神格化プロパガンダに利用されている。

(参考記事:傷つけたら「公開処刑」も…金正恩一家「聖なる木」のトンデモ伝説

平壌のデイリーNK内部情報筋は、馬頭山という名前のブランドのスマートフォンが、今年2月の光明星節(金正日総書記の生誕記念日)80周年、4月の太陽節(金日成主席の生誕記念日)110周年という整周年(5や10で割り切れ、重要とされる年)を記念して発売されたと伝えた。

北朝鮮は2017年から2019年にかけて、平壌、チンダルレ(つつじ)、鉄嶺(チョルリョン)、プルンハヌル(青空)、キルトンム(道連れ)などと言った、廉価版からハイエンドユーザー向けの様々なスマートフォンを発売してきた。

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ところが、別の内部情報筋によると、2020年1月からのコロナ鎖国で貿易がストップしてしまったことで、それ以降の新製品のリリースはなかった。つまり、自国の技術で製造したという宣伝とは裏腹に、実際は中国から部品を取り寄せて国内で組み立てたり、完成品を取り寄せてブランドだけ張り替えたりしただけの「なんちゃって国産品」だったために、製造ができなくなってしまったようなのだ。

そんな状況の中、記念すべき2022年に合わせてようやく新製品をリリースしたということだが、市中には出回っていないようだ。

「(馬頭山は)情報センターや奉仕場(携帯販売店)でまだ売られていない。一般人が購入できるものではない」(情報筋)

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このスマートフォンについて触れた北朝鮮メディアは、現時点で『対外貿易』の2月号だけで、国内向けの北朝鮮メディアは報じていないようだが、噂は既に広がっている。情報筋は、平壌や新義州(シニジュ)の幹部、トンジュ(金主、新興富裕層)、非社会主義・反社会主義連合指揮部の人員などが購入を希望しており、価格は750ドル(約10万1000円)だと、情報センターの職員の話として伝えている。

詳細なスペックは不明だが、情報筋は「写真がきれいに撮れて、ストレージ容量も増えた」と説明した。また、ブラウザの閲覧履歴の削除が絶対にできず、監視機能を使えなくする迂回ソフトのインストールができないようにされているとのことだ。

(参考記事:北朝鮮の恐怖政治を骨抜きにする「韓流見放題ソフト」