北朝鮮「陸の孤島」で見せしめ…住民が消える国境の街

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2020年1月に始まった北朝鮮のコロナ鎖国。同時に行われている非社会主義、反社会主義現象(風紀の乱れ)に対する取り締まり。それまで合法、非合法の輸出入で儲けていた中国との国境地帯の住民は、主要産業が消滅してしまい、深刻な生活苦に追い込まれている。

そこに加えて先月12日のコロナ患者発生認定と、その後に始まったロックダウンで、食糧難も深刻化している。当然、世論は悪化しているが、国が取った対応は「追放」だ。その詳細を、咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

先月初旬から中旬にかけて、道内の会寧(フェリョン)と茂山(ムサン)の国境に近い地域で、合わせて40世帯が、同じ道内でも国境から遠く離れた漁郎(オラン)や吉州(キルチュ)の奥地の農場に追放された。

いずれも、中国キャリアの携帯電話を使用した容疑で逮捕されたり、家族の誰かがスパイ容疑で逮捕され管理所(政治犯収容所)送りになったりした者だ。当局は、彼らに「不純分子」のレッテルを貼って、奥地に追放したという。

このような「追放事業」は昨年から行われており、4月にも、会寧在住で、家族の中に行方不明者がいる人たちが追放されている。

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当然のことながら、街は恐怖に包まれ、住民はいつ自分が追放の対象になるかもしれないとビクビクし、すっかり萎縮しきっているという。

情報筋は「彼らが新たな犯罪に手を染めることを防止したり、逃亡したりすることを未然に予防するために、国境から遠く離れた地域に追い出している」とし、今後も追放は続くだろうと見ている。つまり、公開処刑と同様の「見せしめの刑」と言える。

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ただ、国境地帯では違法行為を行うことが前提に地域経済が回っていただけあって、逮捕者が続出しており、その全てを追放するとなれば、街から人がいなくなってしまいかねない。

また、行き過ぎた処罰が、むしろ世論を悪化させていると当局は見ているようだ。そんな中で追放は、面倒を少なめにしてできる口封じ、世論の押さえ込みということなのだろう。

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そもそも、北朝鮮では居住と移動の自由が保障されておらず、誰がどこに住むかは、当局のさじ加減でいくらでも決められる。また、都市と農村では戸籍が分けられており、農村戸籍に編入されれば、一生を、貧困から抜け出す可能性がない奥地で過ごすことになる。現代版の流刑だ。

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