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北朝鮮が、国内での新型コロナウイルスの感染者を初めて公式に認めたのは、今月12日のこと。その前の2日から8日にかけて、西部の平安北道(ピョンアンブクト)新義州(シニジュ)では封鎖令(ロックダウン)が敷かれたが、そこから数百キロ離れた両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)でも、14日からロックダウンに入った。現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

市内では、すべての住民に対して外出禁止令が出され、市場の営業も中断させられた。ロックダウンがいつ終了するかは伝えられていない。

恵山では2020年8月と11月、2021年1月と3月に計4回にわたってロックダウンが施行され、初回は1ヶ月もの間、一切の外出が禁じられた。あらかじめ食糧を備蓄できなかった人々を中心に餓死者が続出。住民の不満の高まりを受けて、地元当局までが中央の封鎖令実施に反発するようになり、4回目はわずか1日で解除されることとなった。

その反省を踏まえてか、今回は「人民班長(町内会長)が経済状態の厳しい世帯の食糧問題を解決せよ」との指示も下されている。ただ、国から食糧支援があるわけでもなく、「分け与えるコメがどこにあるのか」「話にもならない」などと不満の声があがっているとのことだ。

(参考記事:ロックダウンわずか1日で解除…北朝鮮「コロナ対策」の朝令暮改

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さて、今回の集団感染だが、始まったのは先月末ごろだという。高熱に苦しめられる人が続出したが、当局は隔離と移動制限を行うだけで、一切の治療を行わなかった。市内北部の渭淵洞(ウィヨンドン)では数十人の発熱患者が発生。彼らは1週間もの間、立ち上がることも、食事を取ることもできなかったという。また、市内中心部の恵花洞(ヘファドン)や馬山洞(マサンドン)でも、同様の状況に陥った。

市内の医療機関では、「風邪薬を飲んで汗をかけばよくなるだろう」と言いつつも、必要な医薬品は提供されなかったと情報筋は伝えた。

朝鮮中央テレビは、発熱時に服用すべき薬として、抗生剤、アセトアミノフェン、イブプロフェンを挙げているが、地元当局は、漢方薬と柳の葉を煎じて飲むように宣伝している。これに対して情報筋は「感染者に対する治療や医学的対策はないくせに、家の外に出るななどと住民の移動統制ばかり強化している」と不満を漏らした。

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国営の朝鮮中央通信によると、金正恩総書記は15日のコロナ対策の非常協議会で、「国家が調達する医薬品が薬局を通じて住民に適時に、正確に行き届いていない」などとして、内閣と保健医療部門の担当者、中央検察所長らを厳しく批判した。だが、医薬品の不足は今に始まった話ではなく、恒常的なものだ。金正恩氏はそんな状況を知らないのだろうか。

薬は、人民病院や国営薬局で処方してもらうのではなく、市場で購入するのが当たり前になっており、消毒液すらまともに出回っていないのが実情だ。

(参考記事:「感染者」激増の北朝鮮、ヨモギと酢でコロナに抗う