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北朝鮮は新型コロナウイルスの感染拡大を抑え込もうと、発熱患者を割り出すために大々的な検査を行っている。また、首都・平壌では唾液を採取してのPCR検査も行っている。

平壌のデイリーNK内部情報筋によると、検査はまず検温から行われる。発熱が2日以上続き、咳や呼吸困難の症状がある人は、隔離対象者となる。また、その家族や隣人も必須検査対象となる。

体温が38度以上の場合は、無条件で隔離施設送りとなる。それ以下でも、発熱が2日以上続いていれば、7日間の自主隔離を言い渡される。当局は、平壌の郊外2ヶ所に隔離施設を新設したが、基本的には自宅での隔離となるようだ。

(参考記事:コロナ発生の北朝鮮、平壌にも隔離施設を新設

検温は、洞(町内)の衛生防疫班長と人民班長(町内会長)、もう1人の係官の3人1組が、住民宅を訪問して行われる。「銃のような機械」(情報筋)、つまり非接触体温測定機を使って検温を行うが、それ以外の装備はないという。また、死者がいないかなどの確認を行い、上部に報告する。

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平壌に隣接する平安南道(ピョンアンナムド)の情報筋も、同様の方法で検温が行われていると伝えた。ただ、担当者たちは「異常症状のある者はひとり残らず探し出し、徹底的に隔離し、医学的な監視と積極的な治療対策を立てよ」との中央の指示に過剰に反応し、あたかも発熱患者の発見数にノルマがあるかのように振る舞い、このままでは熱のない人も発熱患者にしてしまいかねない勢いだという。

また、症状がないからと検温に応じない人に対する処罰も行われると同時に、反動分子扱いする動きも見られ、町の空気は殺伐としたものになっているとのことだ。

ほとんどの地域では検温だけで新型コロナウイルスの感染者を見つけ出そうとしている一方で、平壌市内の中区域と病院の集まる大同江(テドンガン)区域では、唾液によるPCR検査が行われているとのことだ。他の地域でもPCR検査が行われているかについて、情報筋は「わからない」としている。

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市内の各所には、24時間運営される指定検査所があり、医師、看護師はもちろん、医大生を含めた医療関係者を総動員して、検査を行っている。診療所や病院の救急医療室の前庭に張られたテントで行われている。

一方で当局は、発熱しているからと必ずしもコロナに感染しているわけではなく、医師の診察をもって診断を下すとし、いい加減な情報に惑わされたり、思い込みから恐れたりしてはならないと強調している。これは、市民の間に少なからず動揺が広がっており、それを抑え込もうという意図があるものと思われる。

ちなみに、韓国の情報機関・国家情報院は19日、北朝鮮で10歳未満の子どもの死亡者が多いとしつつも、コロナ感染拡大が始まる直前に腸チフス、麻しん、百日咳が広がっており、それによる死者も含まれていると見るべきと明らかにしている。また、発熱患者の数は今月末から来月初めに頂点に達するとの見方も示している。

(参考記事:全世界はコロナで苦しみ、北朝鮮はチフスで苦しむ

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なお、国営朝鮮中央通信の伝える発熱患者の数だが、17日発表分は26万9510人、18日は23万2880人、19日は26万2270人、20日は26万3370人と増加の一途を辿ったが、21日以降は減少傾向に転じている。