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銀行が販売する金融商品は、当然のことながら様々な条件によって利率が異なる。北朝鮮の銀行も、高い利子を掲げて顧客を集めていたのだが、政府はそれにストップをかけた。

平壌のデイリーNK内部情報筋によると、内閣は4月9日、「地域産業銀行財政計画樹立修正方向」という指導書を通達した。第1四半期に行われた財政総和(総括)の結果、各地域の商業銀行は、預貯金の利子を過度に高く設定したり、銀行ごとに異なったりするという問題があることを把握し、正しい国家銀行管理体系樹立の確固たる跳躍台を整えなければならないと、指導書は指摘した。

銀行ごとに利子が違うことに対しては、異論が多いらしく、内閣はそれにより、住民の不満がもたらされると指摘していると、情報筋は説明した。

今まで10年間、自力更生の名の下、様々な独自の営業を行ってきた北朝鮮の銀行だが、今後は内閣の指導の下に、中央集権的な経済金融体系にすべきとして、利子については内閣の批准を受けることを義務化した。

これに伴い、平壌市内の3つの商業銀行の支配人は、不均衡な銀行運営を行ったかどで摘発され、検察所の検閲(捜査)を受けているとのことだ。これら銀行は、高い利子を提示して定期預金を集め、満期になれば国家機関の予算から元金と利子を支払ったり、一方的に満期を延長したり、元金は返さず利子だけ支払うなど、問題のある営業を行ってきたとのことだ。

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だが多くの北朝鮮国民は、この話に関心を示していないようだ。そもそも銀行をほとんど利用しないからだ。

北朝鮮の銀行は、いずれも一般人相手に融資は行っておらず、一般国民も、2009年の貨幣改革で、全財産を銀行に預けさせられ、引き出し額に制限を設ける形で財産を奪われたという苦い経験から、銀行を全く信用せず、利用もしないのだ。

「銀行にカネを預けて電子決済カードや口座振替をする先進的な方法があるが、労働党や捜査機関に個人の金融情報が筒抜けになるため、個人は地域の商業銀行の高い利子に関心を示さない」(情報筋)

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資産を持っていることが当局にバレると、あるとあらゆる手でたかられるリスクがある。そんなこともあって、財産は外貨に両替した上でタンス預金とし、資金が必要ならばヤミ金業者から借りるのが当たり前になっている。

(参考記事:北朝鮮国民の金融資産は平均19万円…格差大きく「ゼロ」が多数

北朝鮮経済は、ほとんどが地下経済化しているため、国ですら国内にどれほどの通貨が流通しているのか把握できていない。当局は、様々な手法を使ってタンス預金を引き出させようとしているが、いずれもうまく行っていない。

(参考記事:北朝鮮の地方銀行が「強制預金」キャンペーン