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金正恩総書記は、昨年1月に開かれた朝鮮労働党第8回大会の結語で、「社会生活の各分野で現れているあらゆる反社会主義的・非社会主義的傾向、権力乱用と官僚主義、不正・腐敗、税金外の負担などあらゆる犯罪行為を断固阻止し、統制しなければならない」と述べた。

このように厳しく戒められたはずの税金外の負担だが、現実には続けられている。

(参考記事:経済を最優先、核戦略では妥協せず…金正恩氏、党大会で結語

咸鏡南道(ハムギョンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、咸興(ハムン)市では今月初旬から毎日朝9時から昼1時まで女盟(朝鮮社会主義女性同盟)のメンバーが、太陽節(今月15日の金日成主席の生誕記念日)の行事の準備に動員された。

今年は金日成氏誕生から110年。北朝鮮では重要視される整周年(5や10で割り切れる年)であるため、例年以上に盛大に祝わうように指示が出された。各地域では様々な公演、集会などが開かれ、雰囲気が盛り上げられた。

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女盟のメンバーのうち、何らかの事情で行事の準備や行事そのものに参加できなかった人々からは、税金外の負担である現金が徴収された。

市内の城川洞(ソンチョンドン)に住む40代女性は、健康上の問題で、忠誠の歌の集いに参加できなかった。すると初級団体(下部組織)の委員長から3万北朝鮮ウォン(約540円)を支払うように強いられたという。

委員長は「忠誠の歌の集いの参加者の中には病気の人も多いが、高い忠誠心で打ち勝っている。太陽節がまもなく訪れるのに集いに出なければその穴埋めを誰がするのか」と言って、現金を要求したとのことだ。

(参考記事:家族思いの女性を陥れた、北朝鮮「人民班長」の人面獣心

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国際社会の制裁、コロナ鎖国で厳しい生活を強いられている北朝鮮の人々。一日でも多く市場に出て商売をして現金収入を確保したいところなのに、「たった一日の行事のために数日も集まって練習しなければならないなんて、誰が喜ぶのか」(情報筋)というのが現実。

さらに、金正恩氏が諌めた税金外の負担を露骨に強いている。

「政府が税金外の負担をなくせと言ったが、行事に動員される住民の食事と間食の名目で人民班(町内会)と女盟を通じて、直接、間接的に税金外の負担を強いるのは情けない」(情報筋)

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本来なら、国が音頭を取って行う全国的な行事なのだから、当局から様々な支援があって当然だが、そんなものは一切なく、必要な費用は現場レベルで調達しなければならない。

それも金日成主席が1974年に税金制度を廃止したため、政府が充分な税収が得られないことが、そもそもの原因なのだが、税金が存在しないはずの国で「税金外の負担禁止令」が出されるのも非常に不思議なことだ。

(参考記事:税金制度を廃止したはずの北朝鮮で「水資源利用税」新設