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北朝鮮のホテルショップでは、様々な種類のミネラルウォーターが売られている。最も代表的なものを挙げると、かつて韓国にも輸出されていた江西(カンソ)薬水、神徳(シンドク)泉水などがある。

それ以外にも様々なミネラルウォーターが存在し、北朝鮮の消費者も買い求めている。これは、施設の不備で清潔な水が得られない北朝鮮の水道事情も関係している。

(参考記事:「昭和天皇も飲んだ」北朝鮮が熱を上げるミネラルウォーター商売

そんなミネラルウォーターを販売する商人から、当局は税金を取るようになったと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じている。

平安南道(ピョンアンナムド)成川(ソンチョン)の情報筋は、郡の人民委員会(郡庁)の国土部の指導員が、泉のそばで水を汲む商人から水資源利用税と称して税金を徴収していると伝えた。額は、水50リットルあたり1000北朝鮮ウォン(約23円)。

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決して高い額ではないのだが、商人たちは、市場管理費(ショバ代)を搾り取るに飽き足らず、水に対しても税金を徴収するようになったことについて、呆れたとの反応を示しているという。

平安南道の殷山(ウンサン)の情報筋によると、水売りは種銭や商才がなくとも気軽に始められ、すぐに現金が得られる商売で、主に男性が行っていた。そしてコロナ禍の経済難の中、新たに水売りを始める人が増えている。

競争が激しくなり、水の値段が従来の半分程度まで下がったが、そんな中で地方政府が、水に税金をかけるようになり、商人は反発している。額は成川より割高で、1リットルのビニールパックには300北朝鮮ウォン(約7円)、同量のペットボトルには800北朝鮮ウォン(約18円)だ。

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当局の理屈は、国家の資源である水を使って金儲けをしているのだから、水資源利用税を払わなければならないというもの。たしかに北朝鮮の地下資源法第2条には、地下資源は国家だけが所有するとある。

商人たちは、税金は支払う一方で、地方当局の幹部に抗議しているとのことだ。

市場の商人が払う市場管理費、商店への役所の名義貸しの費用などで税収を確保していた地方政府だが、コロナ禍の経済難で、収入が大幅に減ったもようだ。市場管理費を払わずに露店を開くイナゴ商人に対する取り締まりを強化したり、個人が山に切り開いた畑から税金を取るなど、少しでも財政難を解消するために様々な策を繰り出してきたが、今回の水資源利用税もその一環だろう。

(参考記事:人々を餓死から救った「山奥の畑」からも税金を取り立てる北朝鮮

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北朝鮮は1974年、公式に税金制度の廃止を宣言したが、近年に入って事実上の税金に当たる金品の徴収を行う事例が増えている。また、金正恩総書記は「税金外の負担」を禁じる方針を示したこともあり、地方政府は、法的根拠のあるところから税金を取ろうとしているようだ。

(参考記事:金正恩氏が禁じた「税金外の負担」で摘発事例