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北朝鮮社会の病弊のひとつが横流しや横領の類だ。1990年代後半の大飢饉「苦難の行軍」以降に深刻化したものだが、勤め先の備品、設備、生産品を盗み出して、勝手に売り払う行為が多発した。

このような現象はありとあらゆる分野で起きているが、農場とて例外ではない。

(参考記事:国と軍に納めたはずのコメが次々に消えていく北朝鮮の謎

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、咸鏡北道農村経営委員会は先月末、道内の協同農場の管理イルクン(幹部)を全員集めて、会議を開いた。

午前中に行われた通報講演では、黄海南道(ファンヘナムド)の協同農場管理イルクンが、昨年に収穫した国に納めるべき穀物を不正蓄財した実例が紹介された。その概要は次のようなものだ。

協同農場の作業班長の家の台所の床下からは麻袋で数十袋のコメが、倉庫からはディーゼル油が発見された。翌年の農業に必要な穀物を隠しておいたのではなく、完全に私腹を肥やすためだったようだ。これが農場員の怒りと反発を買った。皆が非常に苦しい生活を送っているだけに、怒りはもっともだろう。

(参考記事:「4〜7割の世帯で食糧が尽きる寸前」金正恩の足もとで上がる悲鳴

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それらを抑えるために、作業班長には無期労働教化刑(無期懲役)が宣告された。また、不正行為を黙認、助長し、ワイロを受け取っていた農場の管理委員長、朝鮮労働党の里(末端の行政単位)の委員長、技師長は、一般の農場員に格下げされた上で、他の農場に追放された。

会議は午後に入り、道内で起きた不正行為が暴露され、問題の人物を舞台に上げて思想闘争会議、つまり吊し上げが行われた。

この人物は富寧(プリョン)郡の協同農場の作業班長で、翌年の農作業に使うものとして備蓄しておいたコメを勝手に流用したことで今年1月摘発され、今は予審(起訴前の証拠固めの段階)を受けている。

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例えば、機械の部品を買いに行くとして、清津(チョンジン)市の水南(スナム)市場に行って、原木で作った高級家具や電化製品を買ったりした。取り調べでも自分の懐を肥やしてきた様々な余罪が発覚した。

また、軍に納める軍糧米のうち、半分の麻袋を水に濡らして重量をごまかすなどの行為を働いていた。

咸鏡北道農村経営委員会は、軍糧米を持っていった軍の幹部はこのことに気づいていなかったが、問題が明らかになったので、作業班長を厳しく罰し、今秋からは農場の管理イルクンを徹底的に監督する体系を立て、国の米びつに手を出すイルクンは絶対に許さないと警告した。

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(参考記事:毎年凶作の北朝鮮農業、何が問題なのか?