「半数の世帯で食べ物がない」北朝鮮から聞こえてきた断末魔

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北朝鮮で、前年の蓄えが底をつき、食べるものがなくなった絶糧世帯が増えている。それにより、農場の仕事にも支障をきたしている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

黄海南道(ファンヘナムド)の情報筋によると、甕津(オンジン)郡の国峯里(ククポンリ)の協同農場の場合、「先月末の時点で1つの分隊に所属する20人のうち、半分が絶糧世帯になっている。農場は管理イルクン(幹部)、作業班長、分組長に調査して対策に乗り出すよう指示したが、支援できるほどの余裕はない」という。

この農場ではインセンティブ制度の個人都給制が実施されている。国家計画(ノルマ)で定めた以上の収穫を、農民に分配するものだが、昨年は肥料や営農資材などが支給されなかった上に、国家計画量が現実を超えて策定されていることもあって、農民には充分な食糧が分配されなかった。

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温暖な穀倉地帯の黄海南道は、他の地域に比べて農業のしやすいところだが、それでも絶糧世帯が続出。青丹(チョンダン)郡の興山里(フンサンリ)、白川(ペチョン)郡の花山里(ファサンリ)などの協同農場でも、昨年の分配が少なく、先月末に絶糧世帯が多く現れた。これに伴い、農場の仕事に出られない人が急増している。

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当局は、余裕のある農民に対して、絶糧世帯に食糧を貸し与えれば、秋に2倍にして返すと呼びかけてはいるものの、応じようとする人はいないという。

ちなみにこの地域は、比較的豊かな地域である一方で、2012年には、当局が金正恩党委員長の「指導者デビュー」を祝う祝賀会などに使うために、大量の食糧を強制的に徴発したことから、万単位の餓死者が発生。飢えた人々が家族の亡骸に手を伸ばす「人肉事件」の悲劇すら伝えられた。

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金正恩総書記は、昨年末の朝鮮労働党中央委員会第8期第4回総会で、農業問題について力説したが、現実はこのように非常に厳しい。

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咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋も、絶糧世帯が増加していることに触れ、「慶源(キョンウォン)郡のある協同農場の場合、全体の4割が絶糧世帯になっている」とのことだ。

農場は、作業班や分組に備蓄している食糧を分け与えるよう指示したものの、そうすれば今年の農場に影響が出かねず、戸惑っている。

国はコロナ後から、肥料やビニール膜など農業に必要な資材をまともに提供してくれなくなり、現場の状況がわかっていても、下に対策を丸投げして、何もしようとしないとのことだ。