北朝鮮外務省は26日夜、ロシアのウクライナ侵攻に絡み、「米国の強権と専横にその原因がある」とする個人名の論評をウェブサイトに掲載した。

国際政治研究学会研究士のリ・ジソン名義で公開された論評は、「米国の一方的で不公正な冷戦式思考方式と敵味方式対の外政策により、国際関係の構図は新たな冷戦の構図に変わりつつあり、世界の至る所のホットスポットでは政治軍事情勢が日々緊張を増し、新たな難問が生み出され続けている」と指摘。

(参考記事:北朝鮮が「ウクライナ批判」でロシアを援護射撃、ついでに安倍首相にも矛先

また、ロシアが軍事侵攻したことへの言及を避けながら、「ウクライナ事態もやはり、ロシアの合法的な安全上の要求を無視して世界覇権と軍事的優位だけを追求しながら、一方的な制裁圧迫にしがみついてきた米国の強権と専横にその根源がある」と主張している。

論評の全文は次のとおり(編集部訳)。

米国は国際平和と安定の根幹を崩してはならない

今日の世界が直面する最大のリスクは、国際平和と安定の根幹を崩している米国とその追随勢力の強権と専横である。

米国の一方的で不公正な冷戦式思考方式と敵味方式対の外政策により、国際関係の構図は新たな冷戦の構図に変わりつつあり、世界の至る所のホットスポットでは政治軍事情勢が日々緊張を増し、新たな難問が生み出され続けている。

振り返ってみると、残酷な災難と喪失の痛みをもたらした二度の世界大戦の勃発も、帝国主義の貪欲さにその根源があり、前世紀の地球上で起きた大小の戦争は例外なく、帝国主義者たちの内政干渉的な策動と結びついている。

特に前世紀末に起きたNATOのユーゴスラビア空爆は世界の平和と安定、領土完政と主権守護を繰り返し唱えていた米国と西側の偽善がどれほどのレベルに達し、国際平和と安定の破壊者が果たして誰であるかを赤裸々に見せるきっかけになった。

21世紀の悲劇をもたらしたイラク戦争とアフガニスタン戦争、色とりどりの《カラー革命》は、米国と西側が覇権政策実現のためには手段と方法を選ばないことを如実に示している。

米国が干渉する地域や国々で不和の種が撒かれ、国家間の関係が悪化していることが一つの法則のように固まっているのが、まさに現在の国際秩序だ。

ウクライナ事態もやはり、ロシアの合法的な安全上の要求を無視して世界覇権と軍事的優位だけを追求しながら、一方的な制裁圧迫にしがみついてきた米国の強権と専横にその根源がある。

国際メディアと専門家たちが、ウクライナ事態が発生することになった根本原因について、NATOの一方的な拡大と脅威によってヨーロッパの勢力均衡が破壊され、ロシアの国家の安全が厳しく脅かされていることにあると評しているのは偶然ではない。

自分たちの内政干渉は、世界の平和と安定のための《正義》であると美化粉飾しながら、他の国々が自分の安全を守るために取る自衛的措置は《不正義》であり《挑発》であると、強引に追いやるのがまさにアメリカ式の傲慢と二重基準だ。

今の時代は、米国が独断専横を極めていた時代ではない。

米国は現在の時代の流れを正しく見て、国際平和と安定を損なう強権と専横にこれ以上、しがみついてはならない。

国際政治研究学会研究士

リ・ジソン