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北朝鮮の病弊と言える減少の一つが横領だ。何らかの物品が輸送される過程において、その担当者や責任者が、個人の利益のために横領するというものだが、給与体系が現実に合っていないことから、生きていくためには致し方ないことでもある。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋は、郡の食管行政を司る糧政事業所の倉庫長が、倉庫内の穀物を横領し、摘発された事件について伝えた。

摘発されたのは茂山(ムサン)郡糧政事業所の倉庫長を務める42歳のリ某。その後、今月7日に、茂山郡文化会館で、公開裁判が行われた。最前列には糧政事業所の管理イルクン(幹部)、朝鮮労働党茂山郡委員会と人民委員会(郡庁)の糧政部門のイルクンなどが座り、裁判が行われた。

また、この手の犯罪は家族ぐるみで行われることが多いことから、それら幹部の家族も裁判に参加させられた。

リ倉庫長は、秋の収穫時に穀物を運び入れるときに重量を増やし、出庫時には重量をごまかすなどして、6.3トンものコメを横領していた。そうやって手に入れたコメは、農場に貸し与えて、秋には2倍の利益を付けて取り立てていた。

(参考記事:金正恩氏が警告も「悪循環」止まらず…協同農場の借金問題

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これに対してリ倉庫長は、「種銭の穀物には手を付けておらず、利子を儲けただけなのに、なぜそんな大問題になるのか」と反問したが、これが裁判官の非難を呼び、更に心象がわるくなったようだ。

1時間半行われた公開裁判で、リ倉庫長は、「国家財産貪汚浪費罪を犯し、非社会主義行為の極地に達した」と批判され、「人民の名の下に逮捕する」と検察所の要員により手錠をかけられ、どこかへと連れ去られた。

今回の裁判には、非社会主義・反社会主義連合指揮部も参加したが、現在の国の食糧事情に言及し、このような悪徳な者が国の米びつを弄ることに警鐘をならさなければならない、無期懲役がお似合いだと言い放ったとのことだ。

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情報筋によると、以前ならば5年ほどの労働教化刑(懲役刑)が相場だったが、食糧事情の悪い今、処罰が強化されており、10年以上の労働教化刑にされるものと思われる。

(参考記事:国と軍に納めたはずのコメが次々に消えていく北朝鮮の謎