高射銃で人体を粉々に…金正恩が明かした「密輸女性」の処刑場面

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正確な数はわからないものの、北朝鮮は中国に数多くの貿易機関の関係者を駐在させている。彼らは、北朝鮮製品を売り込み、中国製品を買い付ける、北朝鮮経済にとって欠かせない存在だ。北朝鮮当局が、そんな彼らを集めて総和(総括)を行った。

中国在住のデイリーNK情報筋は、今月初めに遼寧省丹東にある北朝鮮の貿易代表部の幹部を集めて総和を行ったと伝えた。同様の総和は瀋陽でも行われた。

総和の場で当局は「密貿易や不法行為に加担したのならば、一瞬のうちにしてすべてを失う」として、当局の許可を得ずに行われる非公式貿易を批判した。非公式貿易とは、国の承認の下に行われる密輸のことだ。承認がなければ単なる密輸だが、過去には公式貿易や非公式貿易に紛れ込ませる形で行われていた。それを今後は許さないということだ。

(参考記事:北朝鮮・両江道で2年ぶりに「国家密輸」再開

当局はさらに、2021年に密輸容疑で処刑された人々の名前を列挙し、その場を凍りつかせた。平壌に近い西海岸の南浦(ナムポ)で密輸を行い、逮捕された女性は高射銃で銃殺され、遺体が粉々になり跡形もなく吹き飛ばされたという。当局は、そうした情報をいちいち公開したとのことだ。

(参考記事:【写真】玄永哲氏の銃殺で使用の「高射銃」、人体が跡形もなく吹き飛び…

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この高射銃とは、14.5ミリ口径の重機関銃を数丁束ねた対空兵器だ。これほどの大口径火器は通常、ヘリコプターや軽車両への攻撃に使うものだが、北朝鮮では金正恩体制になって以降、人々の恐怖心を高めるため、公開処刑でしばしば使われている。その様子をわざわざ海外の駐在員に語って聞かせるというのも、金正恩総書記ならではのやり方と言えるだろう。

総和では、駐在員の服装に関する指示もあった。

「元帥様(金正恩総書記)が御召しになっているレザーコートを一般人が着ることは、元帥様の尊厳と威厳を汚す」として、レザーコートの着用禁止令が言い渡された。しかしレザーコートは、中国東北では非常に一般的なものだ。ちなみに同様の禁止令は、北朝鮮国内でも出されている。

(参考記事:「金正恩スタイル」のレザーコートに着用・販売禁止令

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総和の後、駐在員の間では恐怖が広がるかと思いきや、意外な反応が出ている。「国が主導する非公式貿易が拡大されるのではないか」との期待感だ。既に拡大する計画があるため「事前に国の許可を得ていない密輸を根絶しようと総和を行ったのではないか」との見立てだ。

実際、総和で当局の講演者は「今後貿易が再開される日までそう遠くない」と語ったと伝えられている。北朝鮮は国連安全保障理事会の制裁で輸出が制限されている石炭、亜鉛、マグネシアクリンカーなどの鉱物資源を公海上での瀬取りの手法で中国に密輸出してきたが、これを拡大しようというものだろう。

(参考記事:貿易再開の遅れで活発化する中国ー北朝鮮間の「瀬取り」

情報筋も、「まもなく高価な鉱物が中国に輸出されるようだ」「中国の業者たちは北朝鮮と随時連絡を取り合っている」と証言した。