ヨンシムはお腹の中の子供を下ろすために手術を受けて、結局命をおとした。衝撃を受けたヨニルの母も、数ヶ月後に病気で亡くなってしまった。
ヨニルはこれをきっかけに、北朝鮮社会を脱出することを決めた。妹と母の死で、彼は’北朝鮮の幹部たち’を非常に嫌っていた。
私たちが山奥で過ごしはじめて1ヶ月過ぎた旧暦の正月。木を積みに来た主人が私たちに、旧暦の正月は自分の家で過ごそうと言い、私たちは車に乗った。山奥に隠れて動物のような生活をしていた私たちにとっては、夢のようなことだった。
「セックス映画を見たか?」
主人は大きな家で一人で生活していた。妻は香港にお金を稼ぎに行っており、娘は延吉で勉強していると言った。何よりも私たちを興奮させたのは、家にあった韓国の衛星テレビだった。その時、私たちは初めてテレビを通じて韓国を見た。