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韓国のNGO、北朝鮮人権情報センター(NKDB)の調べによると、韓国在住の脱北者の約2割が北朝鮮に残してきた家族に送金をしている。減少傾向は見られるものの、依然として多額の資金が韓国から北朝鮮に流れ込んでいる実態が明らかになった。

北朝鮮政府は、違法な手段を使って流入する資金を遮断したいようだが、それに寄生してきた各地域の保衛部(秘密警察)にとっては死活問題だ。その打開のために、このような送金ルートを利用して、韓国在住の脱北者を相手に詐欺を働く動きも見られる。デイリーNK内部情報筋が伝えた。

(参考記事:韓国在住脱北者から北朝鮮への送金、前年比で減少

昨年11月中旬、咸鏡北道(ハムギョンブクト)会寧(フェリョン)で送金ブローカー業を営んでいたチェ氏(40代)が会寧市保衛部に緊急逮捕された。

保衛部はチェ氏に対して「国内情報を定期的に敵国である南朝鮮(韓国)に流出させたことが確認された、お前は管理所(政治犯収容所)行きとなる」と脅かした上で、「生きたければ50万元(約910万円)を出せ」と巨額のワイロを要求した。

これに対して情報筋は「ここ(北朝鮮)でいくら飛び回っても50万元をどこで手に入れるのか」と疑問を呈した上で、「巨額の上納金を要求するのは、南朝鮮にいる家族から巨額の資金を出させようとしているのではないか」と、保衛部の思惑を推測した。

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北朝鮮の一般的な労働者の月給は4000北朝鮮ウォン(約96円)で、4人家族の一般的な生活費は月50万北朝鮮ウォン(約1万2000円)。一般庶民にとって50万元は天文学的な数字だが、巨額の資金を扱っている送金ブローカーでもよほどの大物ではない限りは出せない金額だろう。

ちなみに2020年までは、通常なら管理所送りが避けられないスパイ容疑ですら10万元出せば揉み消せたが、最近ではその程度の金額では通用しなくなったとのことだ。幹部に対する締め付けが厳しくなり、ワイロを受け取ることそのものがリスキーであるため、そのリスクに見合う額でなければとてもそんなことはできないということだろう。

韓国在住の脱北者の間でも、昨年ごろからこんな話が出回っているという。

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「(北朝鮮にいる)母親が保衛部に捕まったが、釈放してやるというので数回カネを送ったが、結局意味がなかった」
「家族の生死について確認もしてくれず、カネを送れという連絡ばかり来る」

結局、ワイロを取るだけ取って、処罰は原則と方針に則って行う、「釈放するする詐欺」を行っているということだ。

北朝鮮で高官を務めたある脱北者は「昨年から北朝鮮の保衛部が自分たちは表に出ずに送金ブローカーを表に立てて、カネを騙し取る手法を使っている。韓国在住の脱北者は北朝鮮への送金には慎重であるべき」だと警鐘を鳴らした。

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ただ、現在でもこの手法が使われているかは不明だ。北朝鮮の市、郡の保衛部は、違法な中国キャリアの携帯電話をブローカーを通じて販売し、ユーザーからワイロを取り立てて、収入としてきたが、昨年12月、平壌の国家保衛省により摘発された。それほど中央の締め付けが厳しくなっているのだ。

(参考記事:北朝鮮の秘密警察が組織ぐるみ「携帯電話マフィア」の内幕