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短縮されたとは言え、依然として世界で最長と言われる北朝鮮の兵役。軍での生活は非常に苦しいものだ。

中抜きや横流しで食糧や生活必需品の配給はまともに行われず、栄養失調などによる病死、装備を与えられないまま建設工事を強いられた末の事故死など、命を落とす者が後を絶たない。

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かつて兵役は、幹部登用への必須条件である朝鮮労働党への入党推薦が得られ、社会的にも優遇されるなど、様々なメリットがあった。しかし今では、除隊後に誰も行きたがらないような農村、炭鉱に送り込まれるなど、デメリットのほうが大きいと言えよう。

(参考記事:「こんなに残酷なことはない」北朝鮮兵士も動揺する無慈悲な命令

拝金主義が蔓延している北朝鮮のこと、ワイロを使って兵役逃れを図ろうとする人は決して少なくない。咸鏡南道(ハムギョンナムド)のデイリーNK情報筋は、その中の一人、キムさんの絡んだ件について伝えた。

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咸興(ハムン)第1高級中学校(高校)を卒業したキムさんは、咸興薬科大学への入学を目指すも不合格、咸興市の軍事動員部(徴兵を担当する部署)の入隊リストに載せられた。

だが、キムさんは一人息子だ。万が一事故にでも遭って死亡すれば、家系が途絶えてしまう。ちなみに韓国では兵役法に基づき、2世代以上一人息子の場合には、兵役が免除されることになっているが、北朝鮮の法律にはそのような規定がないようだ。

彼の両親は、知人のコネを頼って軍事動員部の副部長にアプローチし、2000ドル(約22万8000円)ものワイロを渡し、その見返りに息子を入隊リストから抜いてもらうよう頼み込んだ。かくして、キムさんは軍入隊を免れた。

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ところがそれから数カ月して問題が浮上した。軍事動員部が検閲(監査)を受けたのだ。その過程で贈収賄が露呈し、副部長は解任、上佐から少佐への二階級降格の処分を受けた。ただし、一生を軍で奉仕してきたことが配慮され、不名誉除隊や出党(朝鮮労働党からの除名)は免れた。

この背景について、情報筋は金正恩総書記の徴兵過程における不正根絶に関する指示があったと説明した。

「昨年から招募(徴兵)事業を党の方針と原則どおりに行えという元帥様(金正恩氏)の方針が数回にわたって下されたのにもかかわらず、軍事動員部の副部長がワイロを受け取った」

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しかし、兵役免除、配属などを巡り、ワイロのやり取りが行われる状況は解決しそうにない。部隊で必要な予算などは自主的に調達せよとの当局の指示があったため、何らかの形でカネ儲けを行わなければならないからだ。結局、軍の幹部は、より密かにより知能的にワイロを受け取ろうとしていると、情報筋は述べた。

なお、事件摘発後のキムさんの処遇について、情報筋は言及していない。

(参考記事:新米将校に「配属先」を米ドルで売りつける北朝鮮軍