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北朝鮮では、様々な水因性感染症が蔓延している。腸チフス、パラチフスがその代表例で、各地で感染が多発している。

チフス菌とパラチフス菌に汚染された患者や保菌者の糞便や、それにより汚染された飲食物を介して感染することから、その衛生環境の劣悪さが垣間見える。北朝鮮当局は、対策に乗り出したのだが、それが逆に住民の不安を煽っている。デイリーNKの内部情報筋が伝えた。

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当局は今年8月、全国の病院に対して、腸チフスとパラチフスに効く新薬だと称して注射薬を配給した。各病院では、15歳から65歳までの住民に接種した。ところがこの薬、正体不明なのだという。

北朝鮮は、万病に効くといった触れ込みで、様々な薬品や健康食品を開発し、輸出販売しているが、中には有害成分が含まれているものもある。

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集団接取が行われた直後の8月から10月の間、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の清津(チョンジン)、会寧(フェリョン)、茂山(ムサン)など、道内の広い地域で、水因性感染症の感染が広がり、隣接する両江道(リャンガンド)の恵山(ヘサン)、三池淵(サムジヨン)、三水(サムス)、金正淑(キムジョンスク)などでも患者が発生している。

会寧では、高熱を伴った症状を見せる患者が続出している。中国と国境を接する地域だけあり、新型コロナウイルスに感染したと疑われ、隔離施設に収容された人も少なくなかっただろう。

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今回の感染症の蔓延だが、8月に北朝鮮北部で被害を引き起こした大雨による可能性がある。浸水被害を受けた地域の水道に、菌に汚染された雨水が流れ込んだということだ。当局が「新薬」の接取を行ったのは、この大雨の後だ。

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結局、薬の成分については当局も医療機関も明らかにしておらず、未だに闇の中だ。

発病しても、コロナ鎖国により中国からの医薬品の輸入がストップしており、国内の製薬工場からの医薬品の供給も充分ではなく、患者は自然治癒するまで自宅で隔離する以外に治療方法がない。治療しない場合の致死率は、10%から40%と言われており、高熱、下痢に苦しみながら死の恐怖と戦い続けるしか、生き残る道はないのだ。

これが「医療は無償」だと宣伝する北朝鮮の現実だ。