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北朝鮮で進む秋の収穫。稲の刈り取りが終われば脱穀の作業が待っているが、思ったように進んでいないという。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)の各地の情報筋が伝えたその原因は、電力不足だ。

平安北道(ピョンアンブクト)郭山(クァクサン)郡の情報筋によると、今年の収穫環境は、季節外れの降雨と寒波で例年と比べて悪い。それに加えて農民を苦しめているのが電力不足だ。通常、秋の収穫の時期には、農場で使う脱穀機用の電力が優先して供給されることになっているが、今年は停電が非常に多いのだという。

農場には1台しか脱穀機がないため、農場の各作業班が8時間ずつ3交代制で脱穀を行う。通常、この地域の協同農場には10以上の作業班があるため、各作業班は3日に1回しか脱穀機を使う機会がない。

運が悪ければ真夜中の作業を強いられるのだが、頻繁に停電が起こり、脱穀作業が止まってしまう。通常は1日に5時間から7時間程度、ひどい場合は1日中電気が供給されない日もあるとのことだ。

国営の朝鮮中央通信によると、金徳訓(キム・ドックン)内閣総理は最近、郭山郡の草庄(チョジャン)協同農場を視察した。情報筋によると、その場で郡のイルクン(幹部)は金総理に対して、脱穀を期限までに終えるには電気供給が鍵となると説明し、電力不足問題の解決を訴えた。しかし、総理からは明確な回答を得られなかったという。

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「国家的に電力生産量が不足しているから、総理もどうしようもない」(情報筋)

(参考記事:慢性的な電力難の北朝鮮で繰り広げられる意味不明の「省エネ活動」

田んぼから脱穀場まで稲束を運ぶのに、トラクターはもちろんのこと、牛車、自転車、人力まで動員する「稲束運搬戦闘」が繰り広げられているが、脱穀場まで運べたとしても、脱穀機が充分に使えない状態だ。

結局、足踏み式の古い脱穀機も合わせて使っているが、電動の脱穀機とは効率が比較にならない。電力供給問題が解決しなければ、期限の11月末までにすべての作業を終えられない状況だという。

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平安南道(ピョンアンナムド)の農業関連の情報筋によると、現地には全国最大の北倉(プクチャン)火力発電所があるが、生産された電気は首都・平壌に優先供給されており、農場で必要としている脱穀機用の電気は常に不足している。

脱穀の妨げになるのは電力不足だけではない。脱穀機はいずれも30〜40年経ったポンコツで、故障が多発、ベアリングやベルトなどの部品を交換するために作業が止まってしまうのだという。

「ロケットが飛び交う21世紀なのに、わが国(北朝鮮)の農村にはトラクター、田植え機、脱穀機などの初歩的な農業機械すら不足している。コンバインなどの機械で収穫できるのは、全体の2〜3割に過ぎない」(情報筋)

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そんな状況に当局は、「手段、力量、内部の予備を総動員して稲束運びと脱穀を同時進行するための徹夜戦、立体戦を繰り広げよ」などと、机上の空論を叫ぶばかりで、不足する資材や装備に対する支援は一切行っていないのだ。