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北朝鮮国民の生活になくてはならないものは何か――金正恩総書記を頂点に戴く「党の唯一領導体系」というのが模範解答なのろうが、そんなものは一般庶民の日々の暮らしには何の関係もない。最も大切なものは市場だろう。全国に4〜500ヶ所ほどあると言われている。

地域によって異なるが、営業時間は最も長いときで午前9時から午後9時まで認められていた。しかし、農村動員に支障をきたすなど、様々な理由で短縮されることも頻繁にあった。営業時間の短縮は売り上げの減少に直結し、商人の不興を買うため、短縮と再延長が繰り返されてきた。

(参考記事:北朝鮮全国の市場が436ヶ所で利用客数100万人以上…米シンクタンクが分析

両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)の場合、午後4時から6時までの2時間に短縮されていたが、それが今月13日に午後3時から7時までの4時間に延長されたと、現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

中国との国境に接する両江道では昨年5月、それまで午後3時から6時までの営業が認められていたが、新型コロナウイルスの感染防止を理由に営業が全面禁止された。ところが、商人の猛反発をくらい、1週間で撤回に追い込まれた。

(参考記事:コロナ対策の市場閉鎖に北朝鮮国民が猛反発「権力機関も恐れない」

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しかし、今度は封鎖令(ロックダウン)が頻発。市場の営業はおろか、外出すらできない状況となり、ステイホーム期間中の食糧確保ができなかった貧しい人を中心に餓死者を出す事態となった。商人と一般庶民が反発したのはもちろんのこと、地元当局までが異論を唱え、結局封鎖令は撤回に追い込まれた。

(参考記事:ロックダウンわずか1日で解除…北朝鮮「コロナ対策」の朝令暮改

それ以降は1日2時間の営業が認められるようになった市場だが、わずかな稼ぎで日々延命している零細商人にとっては厳しい状況が続いた。秋夕(チュソク、旧盆)のお供え物すら調達できない状態となっていた。

そんなところに、恵みの雨のようにもたらされた市場の営業時間延長の知らせに、市民は喜びの声を上げている。市場も、以前と比べて活気を取り戻した。

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しかし、コロナ対策に神経をとがらせている当局だけあって、「秋夕が過ぎればまた元通りになるのではないか」(恵山市民)のとの懸念が拭いきれないようだ。

平壌では9.9節(建国記念日)を祝う閲兵式(軍事パレード)と舞踏会がノーマスクで開催された結果、高熱、嘔吐、呼吸困難などコロナを疑わせる症状を見せ、隔離施設送りになる人が出ている。派手な軍事パレードを行う一方で、人々の生活に欠かせない市場を締め付けるといういびつなコロナ対策に、北朝鮮国民は苦しめられている。

(参考記事:金正恩氏が参加「北朝鮮軍事パレード」でクラスター発生

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