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国際社会の制裁に加え、昨年1月からのコロナ鎖国で経済難が深刻化する一方の北朝鮮。若い世代の間で、結婚を避けたり、子どもを持とうとせず、産んでも一人という現象が広がっている。未来に希望が持てず、無償のはずの教育で非常にカネがかかり、商売に忙しく育児をする余裕がないなど、結婚、出産に前向きになれない理由ばかりだ。

晩婚化、少子化による人口減少は、公式には明らかにされていないものの、かなり深刻なようだ。

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そんな中で、若い独身男性の間で人気となっている結婚相手は、「年上のバツイチ」だ。そのあたりの事情を、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じている。

平安南道(ピョンアンナムド)安州(アンジュ)の情報筋によると、最近の若い独身男性は、離婚経験があっても年上の女性と結婚しようとするという。中でも、除隊軍人の間で、年上のバツイチ女性と結婚するケースが多いという。

かつて、年上の女性との結婚は色眼鏡で見られていたが、「金日成将軍の歌」の作詞で知られる革命詩人の李燦(リ・チャン)は、10歳年上の女性と結婚。そのエピソードが、1990年代に制作された映画「民族と運命」に取り上げられたことから、「李燦式の愛」と呼ばれるようになった。

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ところが、旧態依然とした価値観で国民のプライベートを縛り付ける当局は、年下男性と年上女性の結婚を、非社会主義現象(風紀の乱れ)とみなして統制、ブームは一段落した。それが今になって復活したのは、ひたすら一人の女性を片思いし続けた李燦の思いとは異なり、経済的な理由によるものだ。

女性と手をつないだことすらない軍人は、除隊すればすぐに結婚しようとする。かつてなら、故郷に戻って、両親や親戚の決めた女性と結婚するのが一般的だった。

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しかし、世界最長の兵役期間中、社会と隔離され、世の中の事情を知らないまま生きてきた除隊軍人と若い女性が結婚したところで、市場経済化が進み、生き馬の目を抜くような今の北朝鮮では生きては行けない。良家の才女と結婚しようにも、大学進学の推薦すら受けられなかった除隊軍人など相手にされない。

そこで、商才と生活力を持ち合わせた年上のバツイチ女性と結婚するというのだ。

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両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)の住民も、家や財産を持つ年上のバツイチ女性が結婚相手として最適だとし、自らのマンションに住む33歳の女性は、6歳の娘がいるが、除隊したばかりの青年と出会って、今月末に再婚することになったと伝えた。

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「最近、軍から除隊したばかりの若者は、カネも力もなく、結婚しても新居も得られず、日々暮らしていくだけで精一杯で落胆している。それで、平凡な家の娘より、連れ子がいても、商才や家もあり、経済的基盤もある年上の女性との結婚をいとわない」(情報筋)

また、女性の立場からも、北朝鮮は離婚して一人暮らし、または子どもと生きる女性を見る社会的視線が冷たいこともあり、社会経験の少ない若い男性と結婚することで、そんな視線から逃れることができるというメリットもある。

今のような経済難の中でも生き残るのに必要なのはカネで、人々のカネへの欲と執着は高まる一方で、労働党や社会主義制度は大切だと考えないのが今の風潮だと、情報筋は説明した。

(参考記事:金正恩氏「避妊ダメ。中絶禁止。離婚もNG」で抱える大問題