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新型コロナウイルスの爆発的な感染が広がる日本。入院して適切な治療が受けられない人が急増し、「医療崩壊」の様相を呈している。中でも、コロナに感染した妊婦が入院できないままで出産し、新生児が死亡した件は、社会に衝撃を与えた。

海の向こうの北朝鮮では、国営メディアが依然として「社会主義保健制度の優秀性」を宣伝しているが、その実情は全く異なり、コロナ禍においてだけでなく、それ以前のこの20年来、医療は崩壊したままだ。本来、同国で医療は無料で受けられるはずだが、治療費を払えなかったとの理由でまともな治療を施されず見殺しにされる事例が相次いでいる。

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北東部の咸鏡北道(ハムギョンド)でも、また同様の事例が起きたと現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

道内の金策(キムチェク)在住の40代男性のAさんは今月7日、自宅で脳出血で倒れた。家族は救急車で清津(チョンジン)にある咸鏡北道病院へ救急車で搬送することを要求したが、返ってきた答えは「ガソリンがないからできない」というもの。結局、親戚の力を借りてようやく病院に連れて行くことができた。

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ところが、医師は血液検査など一般的な検査を行っただけで、「現状では治療は不可能だ」と言い残し、病室を出ていってしまった。残された妻と母は、医師が対策を相談しているものだと思い込み、病室で待っていたが、医師は一向に現れなかった。

早急な治療が求められる脳出血なのに、放置されていることに業を煮やした妻と母は、医師と技術副院長のところに押しかけて、助けてほしいと頼み込んだが、何の処置もなされなかった。男性は結局、倒れてから24時間も経たずに息を引き取った。

「患者を助けようとなんとかして道病院までやってきたのに、無残にも死なせるとはどういうことか」と泣き叫び抗議したが、医師らは「どうしようもなかった」と首を横に振るばかり。

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病院にはまともに送電が行われず、自家発電設備も燃料がなく使えない状態。診断や手術に必要な医療機器を動かすことができないばかりか、医薬品も備品もなく、何もできない有様だったという。

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この話を聞いたほとんどの住民は「幹部やその子どもだったら、病院もどうにかして発電機を回して不足した備品もかき集めて助けただろう」と、患者を差別する病院に恨みの声を上げている。カネや権力があれば助けてもらえていただろうということだ。まさに、「地獄の沙汰も金次第」を地で行くような状況だ。

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