1400キロに及ぶ中朝国境の北朝鮮側の国境警備を担っているのは、国家保衛省(秘密警察)傘下にある国境警備隊だ。だが、地域に駐屯し続けることで地域社会とのしがらみができ、国境を警備するどころか、むしろ密輸や脱北を幇助するなどの弊害が出ていた。
その解決のために、地域としがらみのない朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の暴風軍団が派遣されたのだが、これが予想以上のダメっぷりを発揮し、地域住民からの評判も散々なものだった。
(参考記事:金正恩の特殊部隊 「ポンコツ」過ぎて中朝国境から撤収)
もはや人には頼ってられないと悟ったのだろうか。国境地帯の警備に、新たな「兵器」が導入された。両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋が伝えている。
先月25日から、恵山(ヘサン)周辺の国境線沿いに設置され始めたのは、空き缶と空き瓶を紐でぶら下げた設置物だ。間隔を狭めてぶら下げられており、近寄ればぶつかって音が鳴り、侵入者の接近を知らせるというものだ。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面当局は、国境線沿いにコンクリート壁を築き、高圧電流の流れる電線を設置する方針を決め、工事に当たらせている。しかし、そんなものが一朝一夕にできるわけがない。そこで、とりあえずは空き缶と空き瓶で急場をしのごうというものだろう。
(参考記事:金正恩氏、中朝国境に高圧電線など設置を命令…10月の完成目指す)地雷の埋設も行われているが、埋設場所を知らずに接近、爆発する事故が相次いでいる。そんな中でも、密輸や脱北の根絶には至っておらず、業を煮やした当局は、超の付くローテクの設備を導入したようだ。
情報筋は「(当局の)強力な国境封鎖と取り締まりにも、脱北事件が後を絶たず、手段と方法を問わず(取り締まっている)。今回の設置物もそのうちのひとつだ」と語った。
(参考記事:川に洗濯に行った北朝鮮軍兵士2人、地雷を踏んで死亡)