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世界最悪の人権侵害国家と呼ばれる北朝鮮。その中でもより一層、人権侵害が著しいのが、労働鍛錬隊、教化所などと呼ばれる拘禁施設だ。不衛生な環境、絶対的に不足する食事のみならず、拷問や性暴行の横行、公開処刑、強制労働が横行し、「人権侵害の総合商社」そのものだ。

生き残るためには、家族からの看守へのワイロ、食べ物の差し入れなどが欠かせないが、それすらも教化所が経営するコンビニで高値で買わせるというえげつなさだ。

(参考記事:お客から恐喝して荒稼ぎする北朝鮮「恐怖のコンビニ」

政治的に重要な日には赦免が行われるが、釈放と引き換えに労働力不足に悩む農村に強制追放するなど、ともかくまともなところが一つもない。

(参考記事:女囚たちの不可解な死…北朝鮮「限界刑務所」の闇にメス

そんな北朝鮮の教化所だが、ひさびさに受刑者やその家族が喜びそうなニュースが入ってきた。ただ、早速その実効性に疑問が示されている。

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両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋は、社会安全省(警察庁)が先月30日、金正恩総書記の配慮により、全国のすべての教化所において、模範的な教化生(受刑者)が内部の作業で成果を上げたら刑期を短縮すると宣言したと伝えた。

教化所の受刑者は、鉱山、林業など様々な強制労働をさせられているが、今年上半期の教化生産計画(ノルマ)を120%達成し、規律に無条件で服従している者を選び、刑期を1ヶ月短縮するというものだ。すでに全国すべての強化所は、この方針を受けて、刑期短縮に関する文書を作成を進めている。当局はこのように主張している。

「一度過ちを犯したとしても、母なる(労働)党を信じ、最後まで従う教化生たちは、人民の隊列に再び戻すべきだ」
「党の信頼を取り戻すために、歯を食いしばって誓いを守る良心のある教化生たちを導き、最後まで教養、改造しなければならない」

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また、党の方針貫徹の先頭に立ち、再生(生まれ変わり)の道のりで生産活動で模範を示した教化生には、刑期短縮を引き続き行うように布置(布告)している。

その意図について情報筋は触れていないが、金正恩氏が今年1月の朝鮮労働党第8回大会で提示した「国家経済発展5カ年計画」の達成のために、大増産の雰囲気を盛り上げるためのものであることが考えられる。また、深刻化する労働力不足への対応策であるとも考えられる。

(参考記事:「恩赦はするが農村に追放」に北朝鮮の受刑者たちが激怒

この話を聞いた一般住民は、国をあげてのお祝いの日などの特別なきっかけがないのに、このような方針が下されたのはここ10年なかったことだと驚きを示しているという。その一方で、本当に短縮されるのか疑問だとの声も上がっている。

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教化所の内部では、看守が今回の方針を悪用して、教化生からワイロと引き換えに刑期短縮の対象を選ぶ現象が起きそうだとの声が上がっている。すべての権限がカネを生み出す源泉になる北朝鮮では、充分にありえる話だ。

ちなみに、今回の減刑は教化所だけに適用され、管理所(政治犯収容所)の受刑者には適用されない。

(参考記事:人知れず焼かれた6人の兵士…北朝鮮軍「懲罰施設」のおぞましい実態