「幼稚園の母娘」に襲いかかり…飢えた北朝鮮兵士が凶悪化

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北朝鮮と中国の間を流れる2本の川、全長790キロの鴨緑江と521キロの豆満江。その北朝鮮側には20メートル間隔で監視塔が設置されているものの、国境地帯への出入りを完全に防ぐ設置物はなかった。国境警備隊が目視で監視を続けるしかないのだが、長い国境線をもれなく監視するのは非常に困難で、密輸や脱北が多発していた。

北朝鮮の金正恩総書記は最近、鴨緑江、豆満江沿いに人の背丈を超えるコンクリートの壁と3300ボルトの高圧電線の設置の設置を命じた。効率的かつ完璧に国境警備を行い、密輸や脱北を完全にブロックしようというのだろう。

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その建設に当たっているのは、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の建設部隊だが、軍は派遣先で様々なトラブル、事件を起こすことから、人々から恐れられてきた。そしてまた、事件が起きてしまった。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、中国との国境に面した会寧(フェリョン)で先月中旬、コンクリート壁の設置工事に投入されていた建設部隊の兵士2人が幼稚園に侵入、民間人2人を殺害して逃走する事件が起きた。

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兵士2人は夜中に部隊を抜け出し、食べ物欲しさに幼稚園に忍び込み、倉庫と食堂を物色していたところ、警備をしていた幼稚園の女性教養員に出くわしてしまった。その場には、一人での夜勤は辛かろうと娘を気遣い、一緒に警備を行っていた母親もいた。兵士2人は、教養員母子に凶器を振るい、惨殺してしまった。2人は、幼稚園から食べ物をすべて持ち去り、姿を消した。

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北朝鮮で大規模な工事が行われる際には、軍の建設部隊や、突撃隊(半強制の民間建設ボランティア)が投入されるが、いずれも補給が軽視され、まともな食事にありつけないまま、重労働を強いられる。そのため、周辺の民家に押し入って食べ物を盗む事件が相次ぐのだ。

実際、会寧の現場周辺では、空腹のあまりに現場を離脱、民家で盗みを働く建設部隊の兵士が続出していた。

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事件発生を受け、会寧市の保衛部(秘密警察)と安全部(警察署)、周辺の軍部隊、建設部隊は地域を遮断し、まる1日かけて捜索を行ったものの、2人の逮捕には至らなかった。翌日には、咸鏡北道全体に指名手配令が下され、さらにその翌日には全国に広げられたが、事件から2週間経っても糸口すら掴めていない。

「国境地域勤務を強化し、無条件で逮捕せよ」との布置(布告)も下されたが、地理的な条件を考えると、国境を越えて中国側に逃げ込んだと考えるのが自然だろう。国境警備隊の隊員らが、北朝鮮で犯罪を犯して中国に逃げ込んだり、窃盗目的で中国に忍び込んだりする事件が後を絶たないのが現状だ。

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事件発生後も、兵士が民間人の家、畑で盗みを働く事件が多発しており、地域住民は恐怖に震えているとのことだ。