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肥料、営農資材、労働力の不足、度重なる自然災害で毎年のように凶作となっている北朝鮮の農業。一向に改善する傾向は見られず、今年は例年にもましてひどい状況だと伝えられている。

気候のせいで稲作ができない地域が多い北朝鮮では、コメと並んでトウモロコシが主食とされているが、その生育状況が特によくない模様だ。

平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋は、「道内のトウモロコシの産地である价川(ケチョン)、徳川(トクチョン)、孟山(メンサン)では、トウモロコシ畑が雑草だらけになって、生育に支障をきたしている」と伝えた。

地域によって異なるが、トウモロコシは春先から育てた苗を5月前に畑に移植し、何度も草取りをしなければならない。協同農場経営委員会の調査では、道内では初回の草取りすらできていない畑が約7割に達し、本来なら3回目の草取りを行う時期である今月中旬に至っても、全く手がつけられていない畑があるとのことだ。

情報筋が挙げた草取り作業の遅れの原因の一つが、農耕用の牛の不足だ。

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「牛が不足し、畑起こしすらできずにいる。農作業に必要な資材はすべて不足している」(情報筋)

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農業機械も燃料も不足している北朝鮮では、草取り機など望むべくもなく、コロナ鎖国で除草剤も手に入らない。また、都会から農村支援にやって来る多くの人々は、主に「田植え戦闘」の現場に投入される上、農村の働き手は彼らの世話や、多発する盗難を防ぐための警備に取られ、コメより安いトウモロコシの畑にまで人がやって来ないのだ。

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また、春先には異常低温と異常高温が繰り返し、降水量が多く、ただでさえ悪いトウモロコシの作況にさらなる悪影響を与えているという。

当局の対処は、農作物管理がなっていないという理由で、農場の幹部に10日間の営倉(懲役)という処罰を下すという的外れなものだ。

(参考記事:北朝鮮「田植え戦闘」を控え農場幹部を大量摘発

トウモロコシの収穫は8月から10月初旬にかけて行われるが、このままの状況が続けば、トウモロコシが供給不足に陥り、価格の高騰が懸念されている。

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天候不順により中南米でのトウモロコシの作況が振るわず、中国政府が先月、豚や家禽類の餌に含まれるトウモロコシの割合を減らすよう勧告したことで、中国のトウモロコシ農場では生産量を減らしており、いずれも価格が上昇傾向にある。

北朝鮮が不足分を輸入で穴埋めし、国内での価格を安定させるのが困難になる可能性が考えられる。

国家経済発展5カ年計画の農業部門の達成のために、農村に大量の人員を送り込むなど、様々な策が講じられてはいるものの、開始早々から先が思いやられる。

(参考記事:北朝鮮青年180人が農村行きの「嘆願」を強いられる