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北朝鮮の金正恩総書記が、今年1月の朝鮮労働党第8回大会で提示した「国家経済発展5カ年計画」。しかし、計画達成に欠かせない農村や炭鉱などでの労働力不足が深刻だ。これら地域は労働・居住環境が極端に悪く、誰も行きたがらないのである。

その穴埋めのために、繰り上げ除隊させられた元兵士を集団で送り込む「集団配置」が行われているが、それだけでは足りないようで、今度は「嘆願事業」が進められている。

(参考記事:鉱山・農村への「強制配置」がもたらした北朝鮮軍の腐敗堕落

黄海南道(ファンヘナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、道内の載寧(チェリョン)、青丹(チョンダン)、殷栗(ウンニュル)などの穀倉地帯での労働力不足が深刻で、それを把握した当局は、その穴を埋めるために嘆願事業を企画した。

学友書房の朝鮮語小辞典によると「嘆願」は「切々とした心情で志願すること」という意味だが、実質的には強制性を伴ったものだ。

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2016年2月には、たった2日で党の活動家、勤労青年、学生150万人が軍への入隊を「嘆願」したと、国営メディアが大々的に報じている。強いられた人もいるだろうが、そんな短期間に大勢の人を集めることは到底不可能だろう。

実際は志願するか否かを問われてすらいない人も含まれていることも考えられるが、もし本当に問われたとしても断れば政治的、思想的に問題がある人物と烙印を押され、今後の社会生活に様々な支障をきたすため、断るのは中々難しいだろう。

(参考記事:金正恩氏を守る「肉弾戦士に」…朝鮮人民軍に150万人が志願

今回の事業の発端となったのは、金正恩氏が先月29日に青年同盟(社会主義愛国青年同盟)第10回大会に、金正恩総書記が送った書簡「革命の新しい勝利を目指す歴史的進軍で社会主義愛国青年同盟の威力を遺憾なく発揮せよ」だ。そこにはこのようなくだりがある。

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第8回党大会以降、全国の青年たちがこぞって決起し、わずか数カ月の間に数千人の青年男女が困難かつ骨の折れる部門に勇躍志願したことは、戦時に最前線に出て敵の銃眼をわが身で塞ぐような英雄的行為であり、われわれの青年のみが身に付けている気高い精神世界を集約的に見せています。

(参考記事:「今後15年で社会主義強国を打ち建てる」金正恩氏が青年同盟に送った書簡(全文)

これを受けて、朝鮮労働党黄海南道委員会は今月1日、市と郡に対して最大限の人員を保証せよとの指示を下した。言い換えると、「嘆願」する若者を頑張ってかき集めろということだ。

強圧的な方法で行われた「嘆願の要請」に、家庭の事情や健康などの理由を挙げて拒もうとする人もいたが、過去の経歴や土台(身分)をちらつかせ脅迫したという。

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「今の若者の誰が農村や鉱山に行って、農業をしたり鉱石を掘ったりしたがるものか。だから、今回の嘆願事業は強制性を帯びたものにならざるを得ない」(情報筋)

なお、金持ちや幹部の家の子女は、今回の嘆願事業の対象から除外されたのは言うまでもない。

結局、17歳以上の180人の男女が嘆願を強いられ、貧しい農村や鉱山に送り込まれたものの、あまり役に立っていないようだ。というのも、労働力不足も深刻だが、それ以上に深刻なのは食糧と農業機械に使うガソリンの不足で、人を増やしたところで危機を克服できるか疑問だと、情報筋は首を傾げた。

だが、最高指導者の即興の命令であっても、逆らうことは許されず、無駄とわかっていても、「やってる感」を演出してやり過ごす。そして、結果が出なかった場合の責任は、力の弱い下級幹部や現場の責任者に押し付けられる。かくして、大山鳴動して鼠一匹が毎年のように繰り返されている。

黄海南道に隣接する開城(ケソン)でも、同様の事業が行われているが、黄海南道とは異なり、激しい抵抗に遭っているようだ。かつては多数の韓国企業が進出し、北朝鮮の中でも豊かな暮らしをしていたが、工業地区の閉鎖で働き口を失った人々を、同様に誰も行きたがらない3Kな職場に送り込もうにも無理があるだろう。

(参考記事:「炭鉱行きを志願しろ」権力の指示に背を向ける北朝鮮国民

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