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北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は12日、「田植えにすべての力量と手段を総動員して、今年の穀物高地占領の突破口の開こう」という社説を掲載した。都市住民を大量に動員して、一気に田植えを行う「田植え戦闘」の雰囲気を盛り上げるためのこの社説には、次のようなくだりがある。

「田植えを適期に質的に行うには、農業機械のフル稼働を保証しなければならない」

ところが、農業生産を高めるための決起集会で、とんでもない大失態が起きてしまった。

平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、平城(ピョンソン)競技場で先月末、農業機械出帆式が開かれた。そこに参加したトラクターは、エンジン音を響かせ雰囲気を盛り上げるはずだったが、うち数台がエンジントラブルを起こし、始動しない事態となった。

結局、トラクターは別の車に牽引されて撤去される憂き目にあい、雰囲気は台無しに。この件はその後、社会的な問題になっているという。

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エンジンがかからなったことについて、情報筋は「修理に問題があった」と説明した。

「トラクターの付属品工場で生産されたピストンはそのまま使ってはならず、精密に研磨しなければならない。しかし、諸事情で研磨がなされなかったことで、起きた事故であることが判明した」

おそらく、今までは中国などから輸入したピストンを使っていたが、コロナ鎖国で輸入が困難となり国内生産に切り替えたものの、技術、装備の不足でまともな部品が作れなかったようだ。それをそのまま使ってしまったことで、問題が発生したものと考えられる。

(参考記事:タイヤ不足で未出荷トラックがあふれる北朝鮮「5カ年計画」の現場

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韓国貿易投資振興公社(KOTRA)が4月に出した「対中貿易制限の余波で危機に瀕した北朝鮮の農家」という報告書によると、農業機械を補修するための部品は中国から輸入してきたが、コロナ対策として輸入を制限した結果、部品調達ができなくなり、農業機械の7割が使えなくなっているとのことだ。

田植え戦闘を巡っては、技術不足で苗を大量に枯らせた農場幹部が大量逮捕されるなど、様々なトラブルが続出している。

(参考記事:北朝鮮「田植え戦闘」を控え農場幹部を大量摘発