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1年以上続いた北朝鮮のコロナ鎖国が、ようやく終わりに近づいているようだ。貿易再開の兆しは、様々なところに現れている。

中国のデイリーNK情報筋は、国境を流れる鴨緑江に1年以上ぶりに北朝鮮の船舶が姿を見せ、作業を行ったと伝えた。また、北朝鮮と中国を結ぶ新鴨緑江大橋の工事や、中国の丹東と平壌を結ぶ国際貨物列車の運行も、再開されている。

その兆しは、市場の物価にも反映されつつある。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は、高騰していた北朝鮮の市場での輸入品価格が下落傾向に転じたと報じた。

(参考記事:国境付近で次々に捉えられる北朝鮮の貿易再開の兆し

北朝鮮最大の貿易都市、新義州(シニジュ)に隣接する平安北道(ピョンアンブクト)の東林(トンリム)郡の住民によると、郡内の市場に変化が生じたのは先月のこと。

市場で売られている輸入品の砂糖、小麦粉の価格が下がり始め、品薄となっていた中国製の化学調味料も売られるようになり、価格も下落している。情報筋は、「密輸が一部再開されて、中国から取り寄せたものだ」と説明した。

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東林郡の市場での今月19日の時点の価格(いずれも1キロあたり)を見ると、小麦粉は1万5000ウォン(約255円)で、1ヶ月で半額になった。また、砂糖は2万8000北朝鮮ウォン(約476円)、化学調味料は11万北朝鮮ウォン(約1870円)でいずれも4割超、下落した。

コロナ鎖国が始まった昨年1月以降、輸入が止まり、乱高下を繰り返してきた北朝鮮の物価だが、品不足が深刻化したようで、今年1月からは極端な上がり方をしていた。それがようやく落ち着きつつあるが、コロナ前に比べると依然として数倍の価格だ。

(参考記事:250%もの物価高騰をもたらした北朝鮮のコロナ鎖国

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平安南道(ピョンアンナムド)の住民情報筋は、国境から遠く離れた安州(アンジュ)、首都・平壌郊外の平城(ピョンソン)でも、砂糖、小麦粉、調味料の価格が下落に転じてから1ヶ月近くになると伝えた。

この地域には、砂糖と小麦粉を原料とする菓子やラーメンなどを生産する工場が多くあり、中国・丹東郊外の東港から、平安北道の龍川(リョンチョン)港を通じて密輸されたものだと聞いているとのことだ。

情報筋の説明では、当局は一部の貿易会社に、農繁期を控えて営農資材を中心に密輸を許可したが、それだけでは利益が薄く、船の燃料費にもならないため、市場で売られている物の中でも高い方に属する砂糖、小麦粉、化学調味料の密輸に熱を上げているとのことだ。

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ここでいう密輸は、当局が認めているものの関税の対象になっていない取引のことだ。

公式の貿易がまもなく再開されることは知っていると答えたこの情報筋だが、中国国境に接する地域ではコロナ国家非常防疫体制が解除されておらず、公式貿易の再開には少し時間がかかると見ている。